『レイの場合』


 ストーリーモード。

 配信でやれって言われたから初めてみると夜の草原だった。

 大きなお月様があるから木の枝の影が見えるくらいには明るい。

 マークがピコンピコンしてる。

 あっちに行くのかな?

 テクテクトコトコ


「キュエエエエエェェェェ!」


「ヒュ!?」


 び、びっくりした。

 暗闇から出てきたのは…ナニアレ?ねばねば?

 うにょうにょ動いててき、気持ち悪い…

 ぽこん!

 えっと…


「スライムを倒しましょう」


 あのねばねばスライムなの!?

 どっちかっていうとアメーバだよ!

 そ、それにしても…


「うう、気持ち悪い…」


「キュエエエ…」


 んえ?威嚇するだけなの?

 襲ってくる気配はないし、素通りしたら赦されるかな…

 すっと通ってみるけど…

 あ、行けた。

 スライムを倒しましょうも消えたし、スライムも私を警戒するだけで何もしないし。

 何かあったら戻ってきて倒せばいいかな…

 テクテクトコトコ


^^^^^


 しばらく進むと丘になってて、上りきると少し先に女の人が立っていた。

 NPCかな…

 うええ、手振られた…


「こんにちはお嬢ちゃん、こんな場所にいるってことは冒険者なのかな?」


「違います。私、神子です。」


「神子さま!?これは失礼。」


 ニッコリ笑顔のこの人は冒険者なのかな?


「いえ、では、これで。」


「ああ!ちょっと待ってください!」


 女の人が両手を広げでディーフェンス!してくる。

 うざい…


「なに?」


「あの、向こうから来たってことは、道中にスライムがいましたよね!?」


「…うん。」


「倒され…ました…よね?」


「いいえ。」


「え」


 ぴしりと女の人が固まる。

 やっぱり、魔物即斬!みたいなのが冒険者なのかな?

 だったら、私は冒険者はいいかな…


「それじゃ。」


 動きが止まってるし、女の人の横を通り過ぎる。


「ちょ、チョーーット待って!ください!」


「ウザ!」


「(´・ω・`)」


 NPCってこんなに面倒くさいの!?

 フルダイブ環境下だとそうなのかな?


「本当にすみません、一つだけ、お願いがあるんです。」


「なに?」


「街まで護衛をさせてほしく…」


「護衛?」


「はい。実は…」


 …はえ!?この人、冒険者じゃなくて騎士!?

 身分を隠してたのは私を試すため!?

 …明かした理由がなんとなくいい人そうってなんかこう…馬鹿にしてる?


「(ぐへへ、かわゆいのう、小さい女の子はかわゆいのう。)」


 …うわあ、なんか寒気


「…つまり、私の護衛を騎士様がしたいと?」


「はい。この先危険もあるので。」


「…護衛だけなら。」


「やった!」


 面倒くさいのに当たったのかも…


^^^^^


 その後、特に何もなくレイは街につき、騎士に促され身分証として冒険者になり、チャプター0クリアになった。

 その後の雑談配信でああいう絡み方が嫌いだと話し、ロリクールと呼称されたが…

 まあ、それはまた別の話。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る