ホッと温まる、千佳のバレンタイン。【……令和四年仕様】
大創 淳
第一幕 その舞台は、バレンタイン。
――それは、帰り道から始まった。日曜日の黄昏急ぐ町並みを歩み行くの。
入った場所はデパートよりも、もっと小規模。買い物客で賑わうスーパー。そこで僕が購入したいのは、チョコレートの材料。さっきまでレシピを調べまくったの。少しばかり大人のムードを絡ませたいから。そのお味はビターを目指す。もちろん手作りなの。
……大好きな子は、男の子で、
僕は、自分のことを『僕』というけど、列記とした女の子。別に男の子になりたいとかはなし。ただ一人称が『僕』なだけだから。所謂『ボクッ娘』そう思ってほしいの。
僕の名前は、
髪型はボブ。それで……小柄かな? 百五十センチ未満の身長。見た目も……だからほら、どう見ても女の子でしょ。黄色のスカートも履いているし、何だったら全裸の僕にリボンをかけて、プレゼントしたいところだけれど……ボン! と思考が爆発! それってとても恥ずかしすぎる。もう少し大人になってから。彼氏の前だけだからね!
その彼氏は、明日……
人生の大いなる戦いに挑む。僕が在籍している学園を受験するの。僕が在籍している学園は中高一貫で、僕は今、中等部三年生。来年は高等部へと進学し、そこの高等部一年生となる。……彼が、この高校受験を……
彼が高校受験を勝ち取ったのなら、僕と同じ高等部になるということ。だからこそ僕は愛を込めて、チョコ作りに励むの。二月十四日に『愛は勝つ』のだから。
その名の通り、僕の気持ちを……
愛を込めた手作りのチョコで彼の勝利を、有終の美を飾ってあげたいから。だから明日は二人にとっての、スペシャルデー。特別なバレンタインデーとなるの。
思い高ぶるそんな時、バッタリと出会った女の子。まるで鏡を見ているような、僕と瓜二つの女の子……その子の名前は、
「僕も手伝うよ」と言う梨花。……梨花もまた、僕と同じく『ボクッ娘』なの。
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