蜘蛛の糸

 僕が、唯一見つけることのできた希望の光。


 それは、この世に別れを告げるということだった。


 悲しくて涙が出てくる、僕にとっての蜘蛛の糸。


 それをのぼることでしか、僕はこの地獄から抜け出せない。


 その先にいるのが、お釈迦様ではなく閻魔大王でもかまわない。


 どうせ神様も仏様も、僕のことなんて気にかけていないのだから。


 それが嘘だというのなら、この瞬間に僕を連れ去ってほしい。


 臆病な僕には、蜘蛛の糸に手をかける勇気もないから。

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