出会い3

 ちなみに、本人は年上が一番好みなんだそうだ。


 同世代にはない色気があるとかないとか。大きく持ち上がった尻のラインと腰つきのエロさがどうとか。


 年上特有の大人びた雰囲気を持ち合わせながら、一度心を許したら、無邪気な笑顔を見せるギャップがどうのこうのとか常に熱く語っている。


 実際に、街でも彰真の好きそうな年上女性と擦れ違った時は、速攻でデレデレと鼻の下を伸ばして年上女性を軟派していた。


 またある時は、どこぞのマダムらしき品の良さそうな女性と仲良く並んで歩いている所も目撃したこともある。


 イケメン爆ぜろ。滅びろ。そして、顔面だけ俺と取り替えてくれ。


 イケメンのイの字にかすりもしない輝は何度こう思ったか知れない。(おっと。これは至極どうでもいい情報だった)


 話を戻そう。よく女子は「真面目で誠実そうなタイプ」とか言っているけれど。


 その割にどうして実際の感覚としては正反対のタイプと付き合ったり、好きになったりしているんだろうな?


 輝にはそれが昔から不思議でならない。


 でも、奴のおつむの出来は可哀想なくらいに残念だから。


『天は二物を与えず』


 彰真を見ているとそれが証明されているようでホッとする……のは、流石に性根が悪過ぎだろうか。


「なぁ、マジで行かねーの? 今回の場所は、そこそこ腕の立つの霊媒師でも普通にお手上げの場所だって言うからさ、よっぽどヤバそうだと思うんだけど」


 口先ではヤバそうだと語ってみせる彰真の瞳と表情はどこからどう見ても楽しそうだ。


(……毎度毎度、どこからそんな情報を引き出してくるんだか。テストの出来は悪い癖にさ)


 最早、呆れを通り越して敬服さえ覚える。


(どうせ、今回も尾ひれがつきまくった噂話なんじゃねぇの……)


 子供騙しの怪談のような話を喜々として語ってくる親友の楽し気な様子を、輝はげんなりとした表情かおで眺めた。


 オカルトや心霊話といった類を好むもの好きな人間は世界中にどこにでもいるが、目の前のこいつもその一人だ。


 暇さえあれば、どこぞで仕入れた眉唾話を語っているし、心霊スポットというある種の遊び場には、もう数えきれない程に付き合わされた。


 霊感なんて一欠片もない癖に、いつも面白がって輝を道連れにしてくる。

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