争奪核心の弁償
猿山王
はじまりとギャップ萌えと異世界転生ともう1人のキミとその他で結成の話
朝から晩まで勉強してるふりをしてきた僕にとっては受験の失敗など目に見えたものであった。それに失敗とは言っても目標の高校が優秀だったのもあり、そこそこの学校に入学したから僕にとっては失敗ではない。
「校長の話の長さは高校に入っても変わらねーな。暇だから話そうぜ。」
横に座ってるチャラチャラした男が話しかけてきた。
「結構静まり返ってるから話してると教師一同に目つけられるぞ。俺は説教が嫌いなんだ。」
「いやでも入学式で説教してくる先生はおらんやろ。」
確かにそれもそうか。
「お前はそもそも誰なんだ?」
「そう言う時は自分から名乗るもんだぜ。」
「言いたくない。」
「自分の情報は隠し通したいお年頃か?」
「断じて違う。そんなしょうもない理由じゃねーよ。」
「じゃあなんで。」
「言いたくないって言ってんだろ。」
「わかった!キラキラネームってやつだ!」
「お前よく初対面のやつにそんなこと言えんな!」
「否定はしないんだ。」
図星だ。
「お前そんなチャラチャラした見た目の割に頭いいな。なんでこんな高校に入ったんだ。」
「受験当日に体調を崩して全く試験に集中できなかった。」
「思ったよりまともな理由だ。」
「てかこんな高校って言い方は失礼だろ。」
「でもこの高校を目標とする奴はそんなにいないだろ。」
「そんなこともないだろ。その理論だとここにいる奴らは全員受験失敗してることになるぞ。」
「え?違うの?」
「流石に違うだろ。」
まずい。こんなチャラチャラしたやつがツッコミだなんて。軌道修正しないと。
「って、なんでやねん!」
渾身のツッコミを叩き込む。
「お、おい。」
男は当たりをキョロキョロしだした。僕のツッコミが美しすぎたのだろうか。
などと考えていると背後から肩をがっしり掴まれる。
「今はおしゃべりの時間じゃないぞ。」
背後から野太い声で言ってくる。
「お前もだ。こっちにこい!」
その後僕らは体育館の外に連れて行かれた。
「入学式からくっちゃべるとはどういう事だ。お前らには常識がないのか。」
「このチャラチャラしたやつが話しかけてきたんです。」
「仲間売りやがったこいつ!まあ否定できないけど!」
「どちらが先かなど重要ではない!小声で喋るならよかった。だが貴様らは普通に喋っていた。挙句の果てには大声でのなんでやねん。入学式だからといって何も注意されないとでも思ったか!しかも我が校のことを散々言ってくれたな!そもそも…」
見た目の割に小言が多いやつだった。彼の説教は入学式が終わるまで続いた。
「まったく!お前のせいで散々なめにあったじゃないか。」
「きっかけはお前だろ!そもそもなんであそこでなんでやねんなんだよ!」
「お前が常識人みたいに思えて癪だったから。」
「子供か。」
「高校生はまだ子供だ。」
「一理ある。」
「だろ。で、お前は誰なんだ。」
「俺は犬巻透(イヌマキ トオル)。そろそろお前の名前も教えてくれ。」
「仕方ない。教えてやろう。僕は…コアハートだ。」
「え?何?フ●レター?」
「どんな聞き間違いだよ!信じて送り出さねーよ!コアハートだ!争奪核心(ソウダツ コアハート)だ!キラキラネームで悪かったな!笑えよ!」
「ギャハハハハハハハハハハハ!」
「笑うのかよ!しかもめちゃくちゃ豪快!サイコキラーの笑い方!」
「なんだよサイコキラーって。」
「猟奇的殺人鬼。」
「お前は中学生かよ!」
「俺たちはつい数週間前まで中学生だったぞ。」
「一理ある。」
俺は一年D組か。Dってなんか嫌いなんだよな。幸先わりー。
「これから一年担当させていただきます、太田聡です。よろしくお願いします。」
こいつが担任か。なんというか、
「冴えないおっさんって感じだな。」
まさかの同じクラスで、しかも後ろの席にいる犬巻がめちゃくちゃ失礼なことを言っている。(しかも同じこと考えてやがった。)
「人は見かけによらねーぞ。」
今日は特にそれを実感した。
「確かにお前片目髪で隠れてていかにも厨二病ですって見た目でその上名前がコアハートなのに割と一般的な思考回路だしな。」
「失礼な。僕はまだまだ厨二病だぞ!」
「怒るとこそこかよ。」
彼は呆れた顔で言う。
「まあでも確かに、サイコキラーとか中学生が好きそうなこと言ってたしな。」
「そのことは忘れてくれ。」
と、紙が前から配られてきた。やっべえなんも話聞いてなかった。
部活の紙か。帰宅部はどこかなっと。
サッカー部
野球部
男子バスケ部
女子バスケ部
男子バレー部
女子バレー部
その他諸々…
※部活は絶対参加です。
部員が集まり、許可が出れば新しく部活を作ることも可能です。
「なんだこれ部活が強制じゃないかしかもバリエーションもそんなないし。」
頭を抱えている僕に、
「なあコアハート。部活作らないか?」
と犬巻が声をかけてくる。
「どうしたそんなアニオタが考えそうなことを。さてはお前アニオタか?」
「アイドル部やろうぜ!」
「本当にオタクが好きなやつだった!しかもそれアニメだと女がやるやつ!」
「冗談だよ。」
「流石にな。」
「ああ、流石にお前を舞台の上にはあげられない。」
「僕の問題だった!?」
「当たり前だろそんな片目隠してアニメの主人公にでもなったかのような風貌の中学生をあげることなんてできないだろ!」
「僕は高校生だ!」
「お前さっき中学生みたいなもんだって自分で言ってただろ。」
墓穴を掘ってブーメランパンツ。
「で、部活を作るって言ったってなんか案あんのかよ?」
「ない。」
「は?」
「だから想像力豊かなお前に話しかけた。」
「それだとまるで僕が厨二病みたいじゃないか!」
「それもさっき自分でいってただろ。」
墓穴を掘ってブーメランパンツ。
「なんで僕が考えなきゃいけないんだ。」
「だからさっき言っただろ。」
なんかあるかなあ。そうだ!
「雑用部なんてどうだろうか。」
「じゃあそれで。ってなるか!」
「どうした急に。」
「なんだ雑用部って!そんな部活聞いたことないわ!」
「普通の部活はもうあるだろ多分。」
「それもそっか。」
「落ち着くのはや。」
「それが僕の長所さ」
「でも部員を最低でも4人集めなきゃいけないらしい。だからあと2人入りたい部がなさそうなやつを探さねーと。」
教室を見渡した。そこらでは〇〇部はいろーとか〇〇部とかあんだけどーwwとか拙者は美術部に入るでゴザルとか漏れはアニメ研究会に入るでござるだとか言ってる。
意外とバリエーションあるかもしれない。
この学校生徒の総数すごいもんな。
「意外といなさそうだぞ。」
「でもこのクラスだけで35人、一学年に15クラスだぞ。4人なんてすぐ集まるだろ。」
「だからバカみたいに部活多いのか。」
「お前さっきバリエーションないっていってたろ。」
「中学では部活なんて興味なかったからこんぐらいどこにでもあるのかと思ったけど、今の時代子供の数は減少傾向にあるからな、今度から軽率な発言はしないように心掛けるよ。」
「そんなことはどうだっていい。次の休み時間に部員を誘うぞ。」
「わかった。」
目が覚めると、目の前には見知らぬ静かな教室が広がっている。
ここはどこだろう。いや、この景色どこかでみた気がする。
一体なんなんだこの感覚は!僕はなぜここにいるんだ!誰か教えてくれ!
「お前授業はおろか休み時間まで寝てもう放課後じゃねーか!」
「まあまあ落ち着けよ。」
「落ち着かねーよ!」
「今からさがせばいいさ。」
「多分雑用部に入ろうと思うような奴は大体帰ってるぞ。」
「そっか…」
しばし静寂が流れる。
「僕らも帰ろうか。」
「そうだね。」
「お前家どこ?」
「星見台。」
「へー。」
「お前は?」
「星見台。」
「へー。」
他愛もない会話をする僕らは今このすっごいでかい学校のすっごいでかい中庭を闊歩している。帰ろうと思ったが午前中に家に帰っても何もすることがないから本当に今から探すことにした。
そんな時見つけた。
1人でメン〇スコーラやってる女を。
「ギャハハハハハハ!」
この笑い方は
「サイコキラーの笑い方だ…」
「意外と普通にあるだろ?」
もしかして普通なのか!?
「おいお前何やってんだ?」
「見てわかるだろぉ!メ〇〇スコーラだろぉがよぉ?」
なにこの人怖い
「メ〇〇○コーラはゼロの方が良いよ。」
「そこじゃないだろう犬巻。」
「そうだった…!俺たちと雑用部やらないか!」
嘘だろ…この女雑用とか嫌いなタイプだろ。
てかそこでもねえよ。なんで中庭で〇〇〇〇コーラやってんだよって話だろ。
てかなんで口にするごとに〇の数増えてくんだよ。
「なァに言い出してんだテメェは?」
「部活を作ることにした。」
「部活なんて興味ねぇんだよなぁ!」
「この学校部活強制だよ。」
「え?」
彼女は突然静かになった。
「今なんて?」
難聴系かよ。
「何でもないわよ!バカァ!」
犬巻ってもしかしてオタクか?
「わかった。入ることにするよ。その雑用部ってやつに。」
脈絡がねえ。てか急に落ち着くじゃん。もしかしたら彼女の中にもう1人の彼女がいるのかもしれない。
「で、なにをする部活なのかな?」
決まってねえ。犬巻ちゃんと誤魔化せんのか?
「決まってない。」
正直にいったねえ。
「え?それって…」
ほらやっぱりやめといたほうがよかったって。変な人だと思われただけだろ。
「最ッ高じゃねェかァ!」
「嘘だろ!?」
多重人格美少女が雑用部に加入した。やったね。
次の日
「鎌瀬ってどこ住んでんの?」
「星見台」
「へー」
「そういう君たちは?」
「「星見台」」
「へー」
他愛もない会話をするのはまさかの隣の席だった多重人格美少女の鎌瀬猪狩(カマセ イカリ)と陽キャオタク犬巻透。そして名前負けの塊こと争奪核心である。
そんな時見つけた。
端っこの方の席に座る隠キャを
「今日はなにをしてあげようかなあ。」
鼻の下を伸ばしている。
「お前部活どこはいんの?」
犬巻がノータイムで話しかける。しかもすっごい単刀直入。
「え?い…いやぁ、そのぉ。」
こいつコミュ障か。僕と一緒じゃないか♪
「ぶ、部活は入る予定はないです…その、あのぉ」
「ならば我が部に入ってくれ。」
「え、あのぉなんの部活でしょうか?」
「雑用部だ。」
「わかりました。入ります。」
判断はやすぎんだろ!
「よし、4人揃ったし教員に提出しようぜ。」
提出した。
通った。
もう意味わかんない。何となく冗談で言ったのに現実になっちまった。
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