根暗美人な担任の先生のえこひいきが露骨すぎる
夹皨
一年一学期
見返してやろうよ、先生
プロローグ
えこひい鬼という妖怪が居たような気がする。
もしもこの世界がそんなゲームの世界だとしたら、俺達のクラスの担任教師である、
顔全体にかかったセットされていないボサボサの髪、黒縁メガネに挙動不審、コミュ障で自信もなさげな彼女は、その特徴からか、入学式からずっとクラスの人達にナめられている。付いたあだ名は「キモめの貞子」
無視されたり、授業を一切聞かれなかったり、挙句の果てには黒板消しまで落とされる始末。
流石に最後のはやりすぎだと一部の生徒は思ってはいたが、兎にも角にも彼女の居場所は、ここ、瞬風高校には存在していなかった。
そんな彼女だが最近、前述したえこひい鬼に取り憑かれているんじゃないかと思うことがある。比喩ではあるが、そう思わざるを得ない。
ある日を境に始まった、とある1人の生徒への依怙贔屓。
しかし、流石にその依怙贔屓が露骨すぎるのだ。いや、最早これは依怙贔屓と呼べるのだろうか──そうだ、最も適当な言葉が今思い浮かんだ。
「寵愛」
これだ。
それを一身に受けている羨ましいのか羨ましくないのだかどちらか分からない立場に立っている人物こそが、俺である。
最も、不人気な先生に好かれている現状を羨む者は何処にも居ないようだが。
理由は自分でも何となく想像できる。この学園で唯一、彼女がまともに話すことのできる人間だからだろう。
昔からの知り合いだとか、そういうのでは無い。俺はただ、先生だから普通に接しただけだ。
俺達を導く立場であるから、別に好きだからとか、可哀想だからとか、そんな考えは全く無かった。
他意は一切なかったのだ。本当に、たったそれだけなのに……
「し、しゅーくん。今日も放課後、2人っきりで、勉強、しない?今日説明しにくかったとこ、詳しく教えさせて?」
懐かれた。
懐かれた、なんて表現をすると、まるで捨てられたペットを拾ったような気分であるが、言い得て妙というか、なんというか。
確かに先生にとっては俺が珍しいのかもしれないけど、本当に普通の対応をしただけなのだ。この学校が特殊すぎるだけである。
だからそんなさ、優しいねだとか、しゅーくんが居てくれて良かっただとか、大袈裟だし恥ずかしいから辞めてくれないかな。
なんか喋ってる最中もずっと俺の手握ってくるし。
……今日も補習か。先生と。まあ補習は俺のせいだし別にいいんだけど……、なーんか緊張するんだよなあ。
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