24

 目覚めると、誰かが僕の顔を覗き込んでいた。


「兄さん?」


「ナギサなの?」


「よかった」ナギサはそう言って、僕に抱きついてくる。「兄さんなんてホント大嫌いです。わたしに心配ばかりかけるんですから」


「ごめん、ナギサ。でも、僕はもうどこにも行ったりしない。ずっとナギサのそばにいるよ」


「約束ですよ」


 僕は体を起こした。窓の外はもうすっかり明るくなっていた。


「でも、少しだけ不安です。これから二人きりで生きていけるでしょうか」


「大丈夫。世界から見捨てられたって生き抜く方法はいくらでもあるんだから」


「そうですね。二人で力を合わせればきっと……」ナギサは上目使いに尋ねた。「ねえ、兄さん。わたしに何かお手伝いできることはありませんか」


 そのとき、不意に鼻を突く匂いがあった。


「そうだね。じゃあまずは一緒に島を掃除しようか」

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