第31話 村の復興と規格外の召喚魔法
ドルク達が村に来てから一日経ったがその仕事っぷりは凄まじく村人達に鍛冶や建築の知識をレクチャーしながらもとんでもない速度で村を整備し大量にあった筈の木材やら金属やらが底をついてしまった。
「なんだ?もう材料がねぇのか?」
「ああ、そのようだな・・・補充をしなければな」
「おう!ついでに木材の切り方を教えるいい機会だ!ただ運ぶのがな・・・木材を細かく切らないといけねぇし、まだまだ大量に必要だからな・・・」
「なら丁度良い、私も実験したいと思っていたことがある」
「まずは村の外に移動するとしよう」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「お前さん、今度は何をするつもりだ?もしかしてさっきのおかしな魔法を使うのか?」
「それもいいがあの魔法は疲れるのでな、もっと効率的な方法で木材を運べるようにする」
「もう驚かねぇぞ・・・!!なんでも来やがれ!」
「では、みんな少し離れていてくれ“岩巨人”(ゴーレム)!」
召喚魔法でゴーレムを三体呼び出し木材の運搬に利用しようという単純なことだ。
本当は大量に召喚できればよかったのだがこの世界にも召喚上限というものがあり上限を超えて召喚を行おうとすると召喚した順番で消滅するのは実験で確認済みだ。
「な・・・あ・・・!!!??」
「これが騎士様のお力か!?」
「同時に三体のモンスターを召喚なんて一流の“召喚士”(サモナー)でも不可能だぞ!?」
「俺、本で見たことある、熟練の魔女でも1年以上かけて召喚の儀式を行いやっと一体生み出せるかどうか・・・それを一瞬で・・・三体も・・・」
「ゴーレムよ、今より一切の殺傷を禁止する・・・その上でドルク殿の指示に従うのだ」
俺がしたかった実験はこれだ指示する者を指定し変更ができるのか、これが出来れば作業の効率が上がるはずだ。
「ドルク殿、ゴーレム達に何か指示を出してみてくれ」
「え?あ、ああ!じゃあそこのゴーレム!目の前の岩を持ち上げてみてくれ!」
命令通り召喚されたゴーレムが動き出し命令通りに大きな岩を持ち上げ、自らの頭上に掲げてみせた・・・成功した!これで課題はクリアか。
「こりゃすげぇ・・・これならあと3日もあれば村の整備が終わるぞ!!もしかしたら王都より綺麗になるかも知れねぇな!!」
「ほ、本当ですか!ドルク殿!我らの村がそのような・・・」
「おう!あったりめぇよ!俺を誰だと思ってんだ?王様もびっくりの村にしてやるぜ!」
「「「「おおッ・・・!!!」」」」
「あともう一息だ!オメェら!!ここが踏ん張りどころだぞ!!気合い入れろよ!!」
「「「「オオオオオオオッ!!!!」」」」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そして三日後・・・ついに村の整備が完了し、ドルクが言った通り村は王都に劣らないほど美しい村へと変貌しその夜、村の全員で宴を開くことになった。
その翌日に俺達もドルク達と共に王都へ帰ることになった。
「それでは私達も一旦この村とはお別れだな・・・」
「ヴァルディ様、そしてドワーフの皆様、本当にありがとうございます!この村をこんなに素敵な場所にして頂いて・・・村長としてお礼申し上げます」
「まさか、宣言通り・・・本当に数日で村を元通りに・・・いや、それ以上にしてしまうとはな・・・」
「シルヴィス様は今まで私の仕事を手伝ってくれてたんです、ヴァルディ様この村の事は私にお任せください!」
「もう行ってしまうのか?もう少しゆっくりしていったらどうじゃ?」
「ヴァルディ様きっとシルヴィス様は寂しいのです、昨日までだってヴァルディ様がいなくてずっとそわそわした様子でしたし・・・」
「ハッ・・・ハァ!?そ、そんなわけないじゃろ!!適当なことを抜かすでないわ!」
シグが言った言葉にシルヴィスは顔を真っ赤にしながら即座に否定するがまるで説得力がない・・・懐いてくれるのは嬉しいがリゼ達の視線が痛い。
「シルヴィス殿、寂しい思いをさせてしまってすまない」
「だ、だから違うと・・・言って・・・る・・・じゃろ・・・!?あ、頭を撫でるな!」
何故だか寂しそうな顔をしているシルヴィスをみていると無性に頭を撫でたくなってしまい、つい手が勝手に動いてしまった。
「あっ・・・羨ましい・・・(ボソ)」
「ん?シグ殿なにか言ったか?」
「な、なにも言っていません!大丈夫です!(そわそわ)」
「ほう・・・やはりそうじゃったか・・・お主?どうやら村長殿も頭を撫でて欲しいみたいじゃぞ?」
「!?そ、そんなことは・・・いや、お願いしま・・・す(カァァァ)」
シグは壮絶な経験があり普段はクールだが年齢自体はかなり若い、まだまだ甘えたい年頃なのか?
「あ、ありがとうございます・・・皆様またいつでもこの村へ来てくださいね」
「ああ、そうさせてもらう“転移門”(ゲート)!では世話になった」
「じゃあな!嬢ちゃん達!困ったことがあったらまたきてやる!!」
リゼ達も各自挨拶を済ませ王都まで無事帰還することになった。
ドルク達は大量の酒を抱え嬉しそうに帰っていった。
次に行ったとき村がどうなっているか楽しみだ。
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