第76話・また一つ俺は強くなった
俺は学園に戻り早速自分の能力を確認したところ、身体能力、魔力、両方が2倍まで上がっており、更に固有スキル【変幻自在の弾々】がえぐいくらい強かった。
何が強いって?このスキル魔力を込めて思い通りの効果の弾を創り出せるのだ。
爆破する弾は当たり前として、触れると燃える弾、水が出る弾、岩がでる弾、触れただけで傷が癒える弾、また、これは魔力を込めれば込めるほど威力が上がる上に、ある程度離れても自由に操れる、そして、なんと闇空間に仕舞えるのだ。
敢えてもう一度言う。闇空間に仕舞えるのだ。
これ知った時、本気でヤバいと思った。要は安全な時大量に弾を創って闇空間に仕舞って置けば、俺は戦闘中魔力消費無しで、創る際に生じる少しの隙も無しで、弾を連発できるという事だ。
これがヤバいと言わずしてチート呼ぶぞ。マジで、語彙力おかしくなりそうなくらい、強い。だってこの弾万能過ぎるんだもん。
攻撃にも回復にも防御にも味方の補助にも、なんでも使える。
てなわけで、今、この万能スキルを使って大量の弾を作って闇空間に入れてます。
いや、まあ、ぶっちゃけ俺の仕事である監視といっても優秀な眷属たちがいるし大丈夫やし、戦闘劇のほうも一回やって慣れてくれたんで、俺がいなくても大丈夫だと思うし、俺の仕事なんて無いっす。
てなわけで、この学園祭中俺はほぼほぼ自由に動けるということだ。まあ、一応の予定では、金山と勇気と鉄志の戦闘劇が終われば自由気ままに楽しく学園祭を回るつもりっだったのだが、まあ、あれだけ問題が起こったしこの万能スキル手に入ったんで、また似たような問題が起こっても対処できるように、弾を大量に創って闇空間に入れてないと少し不安なんで今この作業をしてるのだ。
――――魔石を使ったりしながら大量に弾を作ること1時間――――
「あああ、疲れた、流石にこれだけ弾を創ってれば大丈夫やろ、さてと、お腹も大分減ったし学園祭を回りますか」
――――――学園祭を楽しむこと約1時間―――――
「いや~~~、凄いわ、舐めてたわ、やっぱりダンジョン連合が協力してるのと冒険者という事でほぼ皆スキル持ちなだけあって凄いわ」
学園祭にある出し物はどれも学生レベルとは思えないほどの圧倒的なクオリティと物珍しさがあった。
例えば、お好み焼き一つとっても、浮遊魔法の使い手が鉄板を浮かして、スキル念動力を使い材料を自由自在に動かし、火魔法で鉄板を熱してお好み焼きを作っていた。味は普通に美味しかったです。後、見てて楽しかった。
他にも、氷魔法の使い手が見せる氷のアートからのかき氷、えぐいほどフワフワで美味しかった。
火魔法の使い手が見せる様々な肉をかなり大きなブロックで焼いた後、お好みの大きさに切り分けて特製タレで味付けした、ガッツリステーキ。
肉に火の通り加減がかなり絶妙で自分の好みを伝えると、希望通りに焼いてくれて凄く美味しかった。特製タレも恐ろしいほど美味しかった。聞けば、調理と調合のスキル持った人に作ってもらったらしい。特製タレだけで売ってたので買ってきた。
もちろん、食べ物以外にも、風魔法使いと浮遊魔法の使い手が見せる、鳥のように飛べる体験や岩石魔法の使い手達が作り出した巨大な迷路に生産系スキルの人達が教える簡単な小道具の作り方等々。
どれも、楽しく、値段も良心的でとても良かった。
そうやって、大分楽しんでいたら、裏ダンジョン連合から電話が鳴った。
「泰斗よ、学園祭中に悪いが任務じゃ、今日起きた様々な問題、その黒幕の正体が分かった、そやつの名前は氷真・壱春じゃ」
もの凄く重そうな雰囲気でそう言われた。
ん?そいつって俺がフルボッコというか殺しかけた奴じゃない、というか極魅了スキル持ってやりたい放題しているくそ野郎じゃなかったけ?
「でじゃ、その氷真・壱春がどうやらこの学園もしくはその付近に潜んでいるとスキルで判明した、しかし、分かったのはそれだけじゃ、それで探すというのは中々難しい上に派手に捜索すれば気づかれて逃げられるかもしれない。そこでじゃ、お主の監視用死霊虫等眷属を使い探し出して欲しいのじゃ、因みに成功報酬は氷真・壱春にかかっている懸賞金1億円とお主が前々から欲しがっていたスキル・死霊憑依、他お主の人型眷属に戸籍をあげよう、これでどうじゃ?」
凄い大盤振る舞いだな。死霊憑依って言ったら、とある死霊ダンジョンで極稀にしか出ない超強く俺との相性のいいスキルじゃないか。
効果は自分の支配下にある死霊を自分含め生物に憑依させることが出来るスキルだ。憑依するとその死霊の能力値がそっくりそのまま憑依者に還元されるとともに憑依された側の精神が弱ければ死霊がその体を乗っ取ることもできるというエグイスキル。
これは欲しい。それに、人型眷属に戸籍をもらえるのだ、まじかよ、神かよ、最近特殊進化で人間の形をしている元鎧死霊や元リッチに元剣スケルトンがそこそこ出てきたからな。
これは受けるしかないな。
「この私、上野・泰斗が氷真・壱春の身柄を捕らえて見せましょう」
「お、おう、なんじゃそのしゃべり方は、まあよい、頼んだぞ」
そう言われて電話は終了した。
【眷属共、気づかれないように氷真・壱春を見つけ出せ】
【了解しました、主様】
「さてと、これで見つかるのは時間の問題だろ」
俺はそう一人呟くと、学園祭周りを続けるのだった。
―――――30分後―――――――
それは偶々だった。本当に偶々だった。
あのかき氷美味しかったなって思いかき氷屋行った時、その前に並んでいたのが氷真・壱春だった。
「あ、って、え、氷真・壱春って、闇魔法・闇拘束」
慌てて闇魔法・闇拘束を使い氷真・壱春を拘束する。
「な、お前はあの時の」
俺を凄い睨みつけて来る。
そうやら本人で間違いないようだ、まあ、良かった、良かった。人違いやったら笑えないからな。
「てなわけで、毒魔法・睡眠毒、暴れられても面倒やしね」
そう言って放った魔法は効かなかった。
「馬鹿め、俺は状態異常耐性スキル持ちだ、スキル極魅了、女共よこいつを殺せ」
氷真・壱春がそう叫ぶと周りにいた女性が俺に向かって走って来る。
ッチ、面倒な、無傷で眠らすなり気絶させるなりしなければならないじゃないか。いや、待て、それよりももっと簡単な方法があるじゃん。
「破壊魔法・スキル効果破壊・極魅了」
パリン
俺が魔法を使うとそう心地の良い音が鳴ると共に極魅了の効果が消えた。
「な、俺のスキルが」
あからさまに驚きうろたえる氷真・壱春。もう、ザマアとしか言いようがないね。
「というわけで、お前のスキルは俺には通じない、観念するんだな」
「クソが、絶対殺す、お前を殺してやる」
本性むき出しで俺に殺すと吠えまくる。うん、野良犬かな?
「闇魔法・闇拘束」
うるさいんで、闇拘束で口と目を塞ぎ、ぐるぐるの簀巻きにし死霊転移で裏ダンジョン連合まで飛んだ。
――――――――――
「流石じゃな、もうこやつを捕まえて来るとは、ほれ、これが約束の死霊憑依のスキルの書じゃ、お金はいつものように口座に入れておくのじゃ、戸籍の方は適当に作ったんで闇空間に突っ込んでおけばお主の賢い眷族なら有効活用するじゃろう」
お爺ちゃんがそう言って、俺にスキルの書と戸籍の証明書となるナンバーズカードと紙を大量に渡してくれる。スキルの書は早速使う。
スキル死霊憑依を獲得しました。
よし獲得出来た嬉しい。
「いや、この程度余裕ですよ、それでは、俺はまだ学園祭を楽しむんで、何かあったら連絡を入れて下さい」
そう言って死霊転移で学園祭会場に戻った。
――――――――――――――――――――
補足説明
何故氷真・壱春は学園祭に堂々といたの?
彼のスキルである極魅了を使えば、バレても逃げれると思ったからです。というか誰も居ないところで見つかった方が詰み。逆に周りに人がいれば極魅了スキルで追跡の妨害が出来て余裕。こんな感じです。
因みに極魅了スキルでは男でもそっちの気があれば普通にかかります。
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