第四話
フォンセル。ゲームの主要キャラでパーティメンバーの一人。原作登場時は騎士団の一員として主人公達と行動を共にすることになる。
プレイヤーからすれば初見となるが、主人公やヒロインをはじめとしたフリーク商会の面々とは大きな関わりがある。
フリーク商会が行商で訪れたとある町にて小さな騒ぎが起こる。名前や家族、出身地等の自身に関する記憶全てを失った少年を住民が発見する。
町の医師にて診察を行ったが外傷はなく命に別状はない。だが記憶を無くしているという特殊な事例を持ち合わせていた。
少年の様子からしても悪ふざけをしているようには見えず、町の誰もが彼のことを知らない。町は村レベルの小さな集まりではないにしても、少なからず横の繋がりはあるはず、にも関わらず面識が無い。
町に駐屯している兵士によって戸籍が調べられたが記録はなく、手詰まりとなった。
どうしたものかと頭を抱えていたところを、フリーク商会の主人であるエルゼンが現れる。
「大方の話は聞いています。……この子が記憶を無くしたという子供でしょうか?」
金髪が特徴的な平均よりも痩せ細った少年。息子とそう歳も変わらないであろう子供が行き場を無くしている。――エルゼンの考えは初めから決まっていた。
「我々、フリーク商会が彼の身元を引き受けましょう」
(普通は「はい、そうですか」とはならないけどゲームだしな)
作中で深くは語られていないが、このまま孤児院へ送られるのなら、自分達が引き取るのとどう違うのか。それなりに知名度があるフリーク商会になら任せても安心だろうという判断となりフォンセルは商会の一員となる。
歳が近いことから主人公やヒロインとはすぐに打ち解け三人は親友と呼べる間柄になった。
その後鍛錬を重ね、フォンセルは一人商会を離れて騎士団へ入団する。十五歳という最年少で入団を決めたのは本人の資質以外にも強い思いによるものが大きい。
行き場のなかった自分をフリーク商会は暖かく迎えてくれた。過去の無い得体の知れない自分を認めてくれた。
受けた恩を必ず返す、そして次は自分のような子供を助けられる存在になろう。強い正義感を胸に抱いてフォンセルは騎士道を歩み始めた。
(で、ストーリーが進むにつれてフォンセルの出自が分かり始める。そこにまたフールが絡んでくると)
ストーリーで全てが開示されることはなかったが、フォンセルは幼い頃病を患っていた。それを治すために彼の父親がフールと取引を交わす。その結果父親は命を落とし、フォンセルは記憶の全てを失う代わりに助かることになる。
フォンセルからすればフールは父親の仇となりジークはその息子。復讐心と正義感の間で彼は大きく葛藤することになった。
(魔力硬化症に金髪、そして似ている。偶然にしてはって感じだよな)
浩人が『魔力硬化症』について詳しかったのはフォンセル繋がりで治療法を把握していたからで、作中では他にも発病者がいたことからそこまで深くは考えていなかった。
(まだそうと決まった訳じゃない……)
ブリンクの紹介で初めて会った時は少し似ているとしか思わなかった。この世界で金髪は珍しい訳ではなく、寧ろ黒髪の方が少ない。
だが、成長するにつれてフォンセルの面影を感じるようになり今では本人と言っても差し支えない程だ。
(あの時何もしなくても助かったのか? でもそれじゃあブリンクが)
作中ではどういった手段でフォンセルが助かったかは分からない。だが辻褄は合っている。ブリンクは原作で登場は無く、フォンセルは記憶や名前を失い父親を亡くしている。
(……いや、今更だしどうでもいいか)
ストーリー上、主人公達とジークの対立は絶対に起こる。両者には因縁がありすぎるからだ。
浩人自身積極的に敵対するつもりはないが、ある程度シナリオ通りに進めば動きやすいとも考えている。
(もしもの時は戦うさ。主人公やヒロインも関係ない。……必要なら
生き残るためなら手段を選んではいられない。ゲームでは必ず死んでいたが、この世界でどうなるかは未知数のはず。……どうしようもなくなれば覚悟を決める。
――舞台装置になるつもりは全くない。
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