第9話 死んだはずの男
中央の陣を守る妖魔兵たちと戦っていたのは、道三子飼いの印章士と覆滅士たちであった。皆、素早く的確に覆滅士がトドメを刺し、間を置かず封印していった。
信長や家康は、配下に左右の陣を攻撃させながら、横目で印章士と覆滅士の連携ぶりを見て、感心していた。一切の無駄が無く、相手が雑魚とは言え、圧倒的な強さで、大将である大原雪斎までの道を切り開いていった。
道三はその様子を見て、馬から降りた。そしてゆっくり歩を進めた。
幕舎近くまで行くと、剣先とは逆の石突で、幕舎を立てている木を素早く二連突きで、二カ所の幕舎を支えている木を倒した。
「はよう出てこい。化け物めが!」道三が幕舎の者に声をかけた。
「うるさい、蝿どもが、我の邪魔をするとは不届き者めらが」幕舎を張っている布は勿論、それを支えていた木々も腐り果てるように消えていった。
「お主も、本来ならそれらの様に腐り果てておるはずじゃが、何故生きておる?」
「道三か。噂は聞いておるぞ。まあ最も、昔の話じゃが、覆滅士らしいのぅ」
「そうじゃ、お主らに引導を渡してやろうと思うてな」
その言葉を放つと、時を同じくして走り出し、刀の間合いに入り切る前に、一回転して大原雪斎の視界からは、見えない位置で抜刀し、鞘を叩き込んで、その上から刀で斬りつけた。
「さすがは道三。噂にたがわぬ強さだ。しかも聡明だ」
大原雪斎の体には、人間では即死している程の斬撃の後が残されていた。
肩から腹部まで、バッサリと斬られていた。その部分に手を当てると、見る見るうちに傷は消えていった。
幕舎が腐り果てるのを見て、用心して鞘を捨てて刃を通した。
道三はすぐに槍の間合いまで、飛び退いた。
配下たちは既に、大原雪斎の兵は全て排除していた。
「左右の妖魔を排除してこい」
彼らはすぐに、まるで箸を割るように、サッと二手に分かれて加勢に向かった。
「二人とも手出しはせぬようにのぅ。こ奴は思ったより厄介だ」
道三は地面に刀を突き刺し、槍を持って対峙した。
「実に惜しい。隙も一切ない。人間にしておくには惜しい人材だ」
「わしは人間で満足しておる。お主ほどの男が妖魔などに堕とされるとは……成仏させてやるから安心せぃ」
道三は穂先をビシッと、大原雪斎に向けた。
それは相手を倒すと決めた心のように、一切のブレも無い殺気に満ちた槍先であった。
道三は足元を狙ってササッと、見えない速度で突きを数発入れた。
足を狙い数発放てば、必ず上から攻めてくると分かっていた。
そして道三の狙い通り、導師る妖魔兵たちと戦っていたのは、道三子飼いの印章士と覆滅士たちであった。皆、素早く的確に覆滅士がトドメを刺し、間を置かず封印していった。
信長や家康は、配下に左右の陣を攻撃させながら、横目で印章士と覆滅士の連携ぶりを見て、感心していた。一切の無駄が無く、相手が雑魚とは言え、圧倒的な強さで、大将である大原雪斎までの道を切り開いていった。
道三はその様子を見て、馬から降りた。そしてゆっくり歩を進めた。
幕舎近くまで行くと、剣先とは逆の石突で、幕舎を立てている木を素早く二連突きで、二カ所の幕舎を支えている木を倒した。
「はよう出てこい。化け物めが」道三が幕舎の者に声をかけた。
「うるさい、蝿どもが、我の邪魔をするとは不届き者めらが!」幕舎を張っている布は勿論、それを支えていた木々も腐り果てるように消えていった。
「お主も、本来ならそれらの様に腐り果てておるはずじゃが、何故生きておる?」
「道三か。噂は聞いておるぞ。まあ最も、昔の話じゃが、覆滅士らしいのぅ」
「そうじゃ、お主らに引導を渡してやろうと思うてな」
その言葉を放つと、時を同じくして走り出し、刀の間合いに入り切る前に、一回転して大原雪斎の視界からは、見えない位置で抜刀し、鞘を叩き込んで、その上から刀で斬りつけた。
「さすがは道三。噂にたがわぬ強さだ。しかも聡明だ」
大原雪斎の体には、人間では即死している程の斬撃の後が残されていた。
肩から腹部まで、バッサリと斬られていた。その部分に手を当てると、見る見るうちに傷は消えていった。道士のような恰好をしており、明らかに得物は刀や槍ではない事は分かった。
道三は幕舎が腐り果てるのを見て、用心して鞘を捨てて刃を通した。
男はすぐに槍の間合いまで、飛び退いた。
配下たちは既に、大原雪斎の兵は全て排除していた。
「左右の妖魔を排除してこい」
彼らはすぐに、まるで箸を割るように、サッと二手に分かれて加勢に向かった。
「二人とも手出しはせぬようにのぅ。こ奴は思ったより厄介だ」
道三は地面に刀を突き刺し、槍を持って対峙した。
「実に惜しい。隙も一切ない。人間にしておくには惜しい人材だ」
「わしは人間で満足しておる。お主ほどの男が妖魔などに堕とされるとは……成仏させてやるから安心せぃ」
道三は穂先をビシッと、大原雪斎に向けた。
それは相手を倒すと決めた心のように、一切のブレも無い殺気に満ちた槍先であった。
道三は足元を狙ってササッと、見えない速度で突きを数発入れた。
足を狙い数発放てば、必ず上から攻めてくると分かっていた。
そして道三の狙い通り、上から攻めてきた。その道士のような姿のせいで
読み違えた事にすぐに気づいた。太陽の光が陰を照らして、鉄扇を開いて道三の首を狙ってきた。
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