スキル見せっこしようぜ!
皆がごそごそとカバンを探るなか、一番最初に出てきたゆっきーのメモを見せてもらった。
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ユーリア・テーヌ
レベル:61
【つよつよ】ちから
【そこそこ】けいさん
【おまけ】ないすばでぃ
【やめとけ】飲酒
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ふむふむ、なるほど。やっぱりレベル=年齢みたいね。ユーリアって名前も、なんだか優雅で羨ましい。そして『ちから』【つよつよ】かあ……見た目通りのパワー型。あと『けいさん』が強いのは、中の人の
それにしても『ナイスバディ』って【おまけ】なんだね。おまけにしてはずいぶん無駄に
そして、すごく気になるのは一番最後。
「ねえゆっきー。『飲酒』【やめとけ】ってどういう事?」
「ああそれねー。僕も納得がいかなくてさ。係の人に聞いたんだよ」
「聞いたっていうか……あれは
ハタやんが苦笑いしながら突っ込んでる。なるほど詰め寄ったんだ、その図体で。係の人も大変だったろうね。
で、その係の人の説明によると【やめとけ】の項目に表れるのは、私のように純粋に『殴り合い=向いていない』という事だけではないという。
「例えば『身体に合わない』とか。あるいは『やってもいいけど報われない』っていう事柄が表れるらしいんだよ」
「でも私達、昨日だって散々飲んでたけど大丈夫だったよね? 『身体に合わない』って事は無いんじゃない?」
「そう! それに好きで呑んでて楽しんでるわけだから、『報われない』のも違うよね? だからあんまり気にしなくてもいいのかなーって僕は思ってるんだ」
「なにそれー! そしたら実質
抗議の声を上げる私の腕を、隣に座ってるイッシーがツンツンして、そっとメモを差し出してきた。あ、メモ見つかったのね。どれどれ……?
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ハンナ・イソリンネ
レベル:56
【つよつよ】空間移動
【そこそこ】めてお
【おまけ】お絵かき
【やめとけ】飲酒
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ハンナってまた無駄に可愛い名前だなおい。それに……あっ! 【やめとけ】に『飲酒』がある!?
っていうか、それ以外のスキルがすごくない? 『空間移動』ってなにそれこわい。しかも『めてお』って何? もしかしてあの
そして本職デザイナーさんのはずなのに、『お絵描き』が【おまけ】扱いで思わず笑う。
「俺氏、おちゃけ飲みたいから稼ぎたい。でもこのスキルで、一体どこに就職したらいいでござるか……」
エルフ美少女、ちょっと涙目。うんわかる、わかるよ。これってどう見ても、安全で平和な職には付けそうにないわね。まさに『冒険者』向きじゃないだろうか。
イッシーの頭をよしよし撫でてると、黒いフサフサの手――ハタやんが自分のメモを差し出す。
「ねえねえともっち。オイラのもなかなかのヤバさだよ。見てにゃー」
「はーい。ってかさっきから、なんで『にゃーにゃー』言ってんの?」
「いやほら、ネコ科的な雰囲気に飲まれてみたくて」
あっはいそうですか。あ、今ちょっと目を逸らしたね。改めてツッコまれたのが、ちょっと恥ずかしいらしい――ふふっ。まあご自由にどうぞ。さて、メモを拝見しますよ。
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ミーア・ハットネン
レベル:47
【つよつよ】はやさ、かくれんぼ
【そこそこ】ツッコミ
【おまけ】ふさふさ
【やめとけ】説教
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ミーアちゃんかー。ネコ科っぽくて可愛い名前ね。『はやさ』はスピード特化型かな。そして『かくれんぼ』ってなにそれ隠密か? そして『ツッコミ』スキルが得意なのはよくわかる。
「へえー。ふさふさって【おまけ】だったのね。実はこれが一番嬉し「それじゃなくて!」あっはい」
おお、さすがだね。早速鋭いツッコミを頂きました。
「『説教』【やめとけ】ってどういう事!?」
「うーん……なんかわかる気がする……」
私がそう言うと、ゆっきーとイッシーも黙って頷く。
「『ゆっきー、ちょっと飲み過ぎぃ!』とか……」
「『イッシー、今日はちゃんと自力で帰れるよねぇ?』とか……」
「『ともっち、野菜も食べてぇー』とか……」
私達がそれぞれハタやんの真似して見せると、とたんにスンッて顔になった。
「そっか……。オイラは心配して言ってるのにさ、誰も言う事聞かないもんな……。『報われない』からやめとけ、って事かぁ……」
うなだれるハタやんの肩を、ゆっきーが励ますようにポンポンと叩いた。イッシーはお代わりのお茶を、ハタやんの前にトンと置いて微笑む。うん、ちょっとだけ美しい光景に見えるけど……。
「なんか皆でハタやんを励ましてる体だけど、結局誰も否定はしないよね」
「ともっちは一言余計なんだよぉぉっ! トドメ刺すなぁぁぁっ!!」
――はい、お得意のツッコミありがとうございまーす!
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