6話 遭遇戦
放課後、部活や委員会活動も終わり下校する時刻。もちろん毎日部活をブチる幽霊部員の水岡希更は帰ってるし、お兄ちゃんになり隊はサブカルチャーの大海原で大遭難している。
残るのは部活を終えた虎井遥輝と長谷友梨佳。二人は意図せず鉢合わせする。
「あら?誰かと思えばお昼に負け犬ならぬ負け猫になった彼氏になり隊の虎井さんじゃないですか?サッカー部の活動お連れ様」
「何いってんの?図書委員でお友達になって百合百合し隊のはせさんもお疲れ様」
「あら?頭が足りてませんでしたね。虎はすっかり猫になるどころか頭がスカスカの馬鹿なんですね?あとハセではなくナ・ガ・タ・ニ!
「社長令嬢とか名前の間違いも流せんとか、大変そうなんだな」
「なんですって!一般人の分際で!!いいでしょうここで実力を見せてやります!!くらえ傀儡」
「相性が悪いんだよ、召喚キクラゲ!精々支配するがいい」
「何よそれ!?そんなのあり!!食材じゃないの!魔法理論をなんだと思ってんの!?」
傀儡の呪いにより地面に落ちたキクラゲを配下におく、お姉ちゃんになり隊のリーダー長谷友梨佳。
「ラーメンのキクラゲを増量するために覚えれた!それだけだ!召喚ゴーレム!!行け!」
実に高校生男子らしいふざけた理由だ。しかしなぜチャーシューにしなかった?
虎井遥輝は反撃に土で出来たゴーレムを召喚する。
「チッ結構な大物出しやがって!無機物系だからって余裕なのよ。幻惑!からの崩壊!」
ゴーレムの呪い耐性を幻惑で削り崩壊を決める。これによりゴーレムは土に戻る。
「これで終わりよ!くらえ!切り札だ!!魔力強制開散」
呪いにより、ターゲットのMPを強制枯渇させる大技だ。
「まだまだ!!召喚黒光りカサカサ悪魔!!盾になれ!」
「なんとぉ!?異世界の魔物?しかしそれは悪手!魔力強制開散は一撃必殺なり」
黒光りカサカサ悪魔は異世界版のゴキブリだ。数の暴力で恐ろしい事になるが基本は生態系の最底辺に位置する害虫だ。一匹召喚しても強くはない。
そして魔力の塊である魔石を持ちそれを砕けば死ぬ。魔石も開散させるから一撃必殺なのだ。
どちらも無駄に無駄を重ねた無駄に消費の多い攻防だ。端的にいえばどっちもアホである。
「これを受けてみろ!召喚小赤鬼」
「小賢しい!幻惑!混乱!からの傀儡!」
「かかったな!長谷友梨佳!!これで終わりだ10連召喚!!式神」
簡易ゴレームぽい式神を10体召喚する。決めに来たようだ。
「まだそんなMPを残してたか!?小赤鬼時間を稼げ!!」
「数は強さ!!這いつくばって許しを請うがいい!!」
「良くやった小赤鬼!正真正銘の切り札だ!全体魔力強制開散!!」
「なんだと!!たった一人でこれだけを呪うとは!?」
魔力で動く式神は停止消滅し小赤鬼は式神からのダメージで倒れる。
「ぜぇぜぇ、てんしちゃんのお友達になって百合百合するまで負けない!」
「フハハ、だがもうMPは残ってないだろ?てんしちゃんの彼氏になるのを指を咥えて見ていろ」
「ハッタリを魔力強制開散は虎井遥輝にも決まっているMPはお互い空よ!」
やっている事のレベルは高い。しかし争う内容が酷い。とりあえずまずはてんしちゃんの意思を確認しろよ。
「「こうなれば残すは肉体言語!!」」
カッコよく言ってもやるのはただのケンカだ。ファンタジーどこに行った?
「女に体力で負けるわけがない」
「偉そうに!長谷警備保障の訓練くらいは受けてるのよ」
今朝、女の子で訓練受けてない水岡希更に一撃で沈められたり、廊下で締めらて落ちてたよ?
「オラオラオラ」
虎井遥輝は女の子相手なのに全力でラッシュする。今朝はラッシュさせて貰えなかったから気絶したのかね?
「これだから素人は雑魚なのよ」
長谷友梨佳はガードしながら狙いすましたカウンターを虎井遥輝の顎に放つ。
なんでそんなボクサーみたいな事出来るのに廊下に落ちてたん?
「ぐはっ、根性じゃー!!スポーツマンは限界を迎えてからが勝負なんだよ。なんだよ社長令嬢って!こちとら部活費も払うの大変なんだよ!!」
脳を揺らされても手を緩めない虎井遥輝、女の子相手なのに遠慮はないらしい。なんか違う私怨も含んでいる。
「知るか!!ボケ!親は選べないの!!あんなむさ苦しい奴ばっか飽きたのよ!」
再び炸裂する長谷友梨佳のカウンター!!
「グホッ、金持ちが何言ってんだよ。毎日、毎日キャベツは飽きたんだよ」
「小指がない強面のおっさんが無理に笑顔してるよりマシでしょ!!毎日ドス見てないでしょ?」
お互い威力が落ちてくる。体力も無くなりかけているらしい
「ふぐ、ドスだぁ?毎日自分で包丁握ってキャベツ刻んで一人飯して弁当作ってんだぞ!ハァハァハァ」
「ゼェゼェゼェ、やるわね」
「「今回はその苦労に免じて引き分けにしてやる。けど次は勝つ!!」」
どうやら変な友情が生まれたが欲望には素直なため争いは辞めないらしい。
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