第33話 飛び降りの街

私の自宅から約30キロの海沿いにひと昔は栄えた街がある 



今でも決して寂れたわけではなく、海を埋めたてた新興住宅地で道幅は広く焼肉屋さんに大型ビデオ店、スーパー、その中でもなぜか飲み屋ビルが多い 



飲み屋ビルから中に入るとあまり流行ってない、いったい誰が来るんだろう?というおばちゃんスナックビルもあれば、え?こんな所に?ってとこにクラブもある 



クラブと言ってもおそらく一昔前はディスコだった場所でしょう 



いずれにせよ、全盛期はまるでドリフのコントに出るようなサラリーマンがはしご酒をするような演歌が流れる赤提灯の居酒屋や、二軒目で訪れるスナックやしめの屋台ラーメン屋まであり 



その街のネオンはそういったどこか懐かしい哀愁が残る場所でもある




一方其処から北側に登って行くとバブル期に建てたであろうラブホテル街があり、その街は街の新興計画からは外されてるのか、良い意味でも悪い意味でもバブル機のままなのである…



約2、30年前からあるアーチ型の看板やひと昔は栄えたのに経営がうまくいかず破綻して廃墟化して草が生い茂り町の少年達の心霊スポット巡りにされた場所や、バブル期に億は費やしたであろうバブルの産物であったり、そういった場所はまるでディスコのような内装であったり、各部屋ごとにガスが配置されている建築物としても相当金がかかってるのが外からでもわかる 




また、実際に「出る」場所や残忍な事件の舞台になった場所もある 




そういった場所もきちんとお祓いをして細々と家族経営をしていたり、またバイトの清掃員を雇いながら藁をもすがる思いで地道に商売を続けている 



このホテル街も中々ヤバいが、そのホテル街近くでは県内一、二位を争う大型ショッピングセンターもあり車を脚にする県民性を重視して大型の駐車場もあれば、その辺りでは高級マンションも立ち並び海も一望できる




その街とネオンの街の間に事故物件指定されたマンションがある 




ちょっと道に出れば夜も明るいネオン、そしてショッピングセンターもあるが道を挟んで中に行くと其処には光と影でいう影の部分がある 





世の中は、やはり無残で光を得る者もいれば全く光が当たらず死を選ぶ者もいる 





何が原因かはわからない、ただこのエリアで家を探していた時期に某事故物件サイトなどはなく、私は不動産に紹介してもらい部屋を見たあと何か心に引っかかるものがあった 




その時浮かんだのは、休みの日誰とも会わずベランダを開けて静かに過ごす自分 




外は天気で明るいのにあまりに暗い生活が頭の中にビジョンとして映し出した 





実家が離れる事で親の反対もあり、断念したが良かったと思った





のちに事故物件サイトに掲げられるマンションだったかもしれなければ、もしかしたら自分も被害に遭ってたかもしれない 





そんな不遇な引き合わせはあの時よくあった 





いずれせよ、光と影が渦巻く街、そういった街にはブラックホールのように惹き寄せられ幸せになる者と幸せになれなかった者達が交差する紙一重な街なのかもしれない 




それを物語るように、海向こうの景色の良い山から眺めると寂し気に夜のネオンが揺らぐ。

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