第126話 温泉郷・アヴァロン②

 私達が住んでるジュワユーズとエクスカリバーを繋ぐ魔導列車に揺られ、数時間。


「うわぁ~・・・・・・」

『ほぉ~、これはこれは立派だにゃ~』


 エクスカリバーの温泉郷・アヴァロンに足を踏み入れた。


 写真でしか見た事が無いアメノヌボコ形式のホテル――旅館が建ち並ぶ光景は圧倒にされる。


「写真で見るより凄い迫力ですね」

『ほお~、なかなか良い所じゃない。美肌の湯とかあったらもっと良いんだけど』

「アタシとアリスは何回か来てるけど、やっぱり慣れないわね。この光景には」

「エクスカリバーの中でも此処は異色だから、仕方ないわよ」


 メロディーも私同様に驚いていて、シシリーさんとアリスさんは慣れないとは言ってるけど何回も来てるのか私も何回か行けるようになれるほど稼げるかな~。

 美意識が高いリンは美肌効果の温泉があることを願っているようだけど、猫の場合は美肌というより美毛? 効果になるんじゃ?


「シシリーさん!! ようやく来たんだね!! まち、グフッ!!」

「エヴァンス!! なんでお前がいる!!」


 立ち止まってないで予約した旅館に行こうとしたらエヴァンスさん登場。シシリーさんが見事な腹パンを決めた。痛そう~。


「ど、どうしてって。僕達も此処に慰安旅行に来て・・・・・・」

「アンタ、ようやく来たとか言ってなかった?」

「すみません。来ると解って予約しました」

「はあ~。アンタの顔を見なくて思ったのに・・・・・・」

「貴方が居るってことはもしかして・・・・・・」


 シシリーさん、死んだ目になってる、ストーカーもといエヴァンスさんに此処で会うなんて嫌に違いない。

 アリスさんは嫌そうか顔をして辺りをキョロキョロを見渡してる。多分、第三王子様を探してるんだろうな、アリスさん、第三王子様のことを苦手みたいだし。


「彼は、アルフはいないよ。公務ならともかく王族である彼は此処に来れない」

「そう、それなら安心ね」

「代わりにだけど」

「エヴァンス! 急に走り出して、アリスティア!」

「ライオネル兄様!」


 アリスさんのお兄さんで確か第一王子の護衛騎士のライオネルさんだ。

 アリスさんも此処に居るとは思っていなかったのが凄く驚いてる。


「珍しいわね。仕事一筋の兄様が休んで旅行なんて」

「あはははは、レオンハルト様に疲れが溜まっているからだろうって休暇を頂いてね。そしたら、エヴァンスから誘われてね」

「ふ~ん」


 な~んかあるような態度だな、これは。アリスさんも怪しいとライオネルさんを見てるし、王宮で何かあったのは確実っぽい気がする。


「ここであったのも縁だ。エヴァンスを追いかけてる途中で美味しそうなお菓子を売っていた店を見つけたから、そこで話さないか?」

「ええ、良いわよ。全部、話してくれるわよね? 兄様?」

「それはどういう意味かな?」

「そうだね、ライオネル、全部話してみたら? 君の家族も知ってることだしね」

「う・・・・・・」


 さすがアリスさん、巻き込まれる前に事情を話せ圧をかけるなんて!!

 エヴァンスさんも止める気ないどころか援護射撃したから、これは話さなきゃいけない空気に持ち込んだ!

 まあ、それはそれとして美味しいそうなお菓子か~、駅弁食べたけど甘い物はまだ食べてなかった。温泉郷・アヴァロンにはアメノヌボコ伝統のお菓子が売られてるって話だから楽しみ~。


「おい!! 探したぞ!! レアハンター!!」


 早々に喧嘩の声が。

 うわぁ~、人だかりが出来てるから其処でやってるのか。


「ねえ、メアリー。さっき、レアハンターって言ってなかった?」

『どっかで聞いたことある言葉だにゃ~』


 メアリーとタマの言葉にハッとする。

 レアハンターって言葉、釣り大会で聞いたことあるけど・・・・・・。

 人だかりの中心をチラッと見ると仮面を付けた派手な男が目に入った。

 見たことある、絶対。

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