〜04話€激突!選ばれし者達〜
ミネトら4人とエンドウら2軍部隊第2小隊の4人の他にもおそらく第1小隊と思われる4人組もその場にいた
模擬戦コーナーに集められたミネトら4人の表情が最初の頃と違うことは見ている誰もが感じ取っていた
エンドウ「よし、これから君たちには1ヶ月間の成果をここで発揮してもらおうと思う!そこで今日は君たちに実際に戦ってもらう!対戦相手は自由に決めて良いぞ!」
同期とも言えるこの4人だが端末で情報は見てるとはいえ初対面でもあるミネトらが、ちゃんと面と向かったコミュニケーションはこれが初めてなわけだが
アルト「よぉミネト、お前もあれからまた強くなったんだろ?俺と戦おうぜ!!」
ミネト「うん、良いよ」
エンドウ(意外とあっさり決まったな…)
好戦的なアルトの申し出に温度差のある回答をしたミネト
あまりにも真反対なこの2人が、選ばれたあの日からいろんな経験を経て今初めて交わることになる
エンドウ「じゃあ2人とも始めるよ!試合開始!!」
ピーとなる機械音が模擬戦のフィールド内を反響し終わる前に動きだしたのはアルトだ
アルトのコアは既に黄色く光っている…何かの能力が発揮されている証拠だ
アルト「電光石火(でんこうせっか)!」
一気にミネトとの間合いを詰めることに成功したアルトは次の能力に移ろうとした
アルト「これで俺の勝ちだ!雷剣(らいけん)!」
ミネト「ミネウチ…」
アルトはミネトのモーションに1か月前のエンドウにやった動きを思い出し、攻撃を中断して1歩下がった
アルト「危ねぇ危ねぇ、それを食らうと俺は負けるみたいだからな!」
マモル「思いのほかハイレベルな戦いだね。アルトくんの攻めを技の発動モーションだけで威嚇したミネトくんも凄いけど、当たり前のように瞬時に相手の初動で攻撃を読み、身を引くことができるアルトくんは頭で考えるより本能で戦うみたいだね!」
タツヤ「そうゆうことだ。お前には1ヶ月間俺と一緒に過去の2軍部隊の模擬戦を分析してもらった。そして能力にあう体の動かし方や能力の発動のタイミングを主に教えたからな!」
エンドウ「やっぱりタツヤはそうゆう勝負の中身に重きをおいてるよねぇ!良い教え方だな!僕も少しは見習わないとだな!」
タツヤ「そうゆうお前は何を1ヶ月間ミネトに教えていたんだ?」
エンドウ「まぁ…見てればわかるさ」
そうゆうエンドウの目の先で、ずっと動かずに技のモーションだけで威嚇していたミネトがついに動き出す
ミネト「そろそろかな…」
アルト「次こそはお前を薙ぎ払ってやる!雷剣!」
ずっとミネトの威嚇のせいで発動しなかったが今度はアルトの手の中に電気の刃の剣が出てきてそれをミネトに向かって振り上げたその時
ミネト「ミネウチフィスト!」
隙だらけのアルトの腹に1発の拳が入った
アルトは気絶してしまい勝負が決まった
機械音「勝者!ウチダ・ミネト!」
エンドウ「僕が教えたのはたった1つだけ!相手の隙を作ることだ!」
タツヤ「何!?」
エンドウ「みんなももう分かっていると思うが、ミネトは相手を1発で戦闘不能にさせることができるとても強い能力だ。でも当たらなければ意味が無い。だから相手の隙、疲れでも不注意でも何でも良い、攻撃を当てられる一瞬を作ることが必要なんだ」
ミズナ「なるほどね、なら次は私がミネトと対戦させてもらうわ」
長い髪をなびかせてアルトが出てきたフィールドにミズナは入っていった
ミズナ「連戦になるけどそんなに疲れて無さそうだし良いでしょ?私と戦ってよ!」
ミネト「良いよ」
エンドウ「まぁ元々戦ってもらう時間だし、ミネトくんが大丈夫ならこのまま2戦目始めようか!試合開始!」
今度の試合は開始の合図の機械音が反響し終わるまでどちらも動かなかった
しかし、ミズナのコアは既に光っていた
ミネト「!!!」
ミズナ「気づいたわね、あなたがさっきみたいな動きをするならこの試合は私の勝ちよ?」
挑発なのか、それともそう言わせるだけの能力の持ち主なのかミネトには分からなかった
タツヤ「エンドウに続きアルトとも戦い、その様子を一部始終見られているミネトが不利な要因をしっかりついてくる戦い方だな。マモル?お前だったらどう戦う?」
マモル「そうですね、結局のところ当てなきゃということはその間合いに入らなければ良いだけなので僕の場合はずっと遠隔で攻撃しますね」
タツヤ「その通りだな。しっかり相手を分析して弱いところを突く、戦いの基本だ」
エンドウ「どっちにしろこのやり方の新人訓練は毎回行われているからな。ここからが見所だ」
マモル「このやり方ってなんだ…」
ドーン!!!
マモルの疑念をかき消すような大きな音がバトルフィールドから聞こえてきた
ミズナ「あーあ、外しちゃった」
ミネト「はぁ…はぁ…なるほどね」
マモルがバトルフィールドに視線を戻すとそこには余裕の表情を浮かべたミズナと疲れ切っているミネトがいた
ミズナ「そっ私の能力は水で何でも生成できる能力よ!そしてこの能力は重ねて使うことが出来ることが訓練で分かったのよ!」
エンドウ「へぇー!僕の能力とそっくりじゃないか!」
客席で喜んでるエンドウとは裏腹にフィールド上のミネトは一方的に追い詰められて苦しそうだ
ミネト「つまりお前は…」
ミズナ「私はミズナよ!ちゃんと人のことは名前で呼びなさい!」
ミネト「っ!ミ、ミズナは最初に水槽のように水を氷膜で覆った壁を自分の周りに生成して僕からの攻撃を防ぎながら、さっきの水爆弾を生成してたわけか」
ミズナ「正解よ!ちなみに訓練で限界まで試してみたらこの水爆弾は溜めれば溜めるほど範囲も広くなるし威力も上がってたわ!つまりミネトに勝ち目はないってわけよ!」
ミネト「そうか、それなら勝てそうだ」
ボソッと言ったミネトの一言をミズナは聞き逃さなかった
ミズナ「なんですって!?ならもう一度同じやり方で限界まで貯めた水爆弾でアンタを負かしてやるわ!」
そう言ってミズナはまた水槽と水爆弾を生成しようとするが
ミネト「ニヤッ…今だ!」
そう言うとミネトはミズナに全力で走り出したのだ
ミズナ「なっ!無意味よ!水槽があってミネトの攻撃は私には当たらないわ!」
思わぬミネトの行動に驚きを隠せず慌てるミズナをよそにミネトは水槽の表面に向かって能力を発揮した
ミネト「ミネウチフィスト!」
ゴンッ・・・ピキッ!ピキピキピキ!
ミズナを覆う水槽の表面全体にヒビが入っていった
ミネト「あとはこうしてっと」
そう言って能力を使った場所に今度はただの蹴りを少しするとバリーン!っと音を立てて水槽が割れて水が周りに流れた
ミズナ「!!!なら水の流れを利用する!」
ミズナは慌てて水爆弾を正面に発射して水の流れを逆に向けたがそこにはもうミネトはいなかった
ミズナ「どこに消えたのよ!!」
ミネト「ここだよ。動いたらアルトと同じ目にあうよ」
そう言うミネトはすでにミズナの背後を取っており、能力が使える状態の拳をミズナの背中にギリギリ当たらないようにしていた
ミズナ「私の負けよ…」
機械音「勝者!ウチダ・ミネト!」
ミズナ「でもどうして私の後ろに来れたのよ!ミネトの方にだって水が流れてきてたはずよ!」
ミネト「あー流れてきたよ?だからその上を走ってきた」
ミズナ「は?何言って…」
ミネト「足の力を峰打ち化して水に沈むギリギリの力に変えて走った」
ミズナ「!!!つまりミネトの能力って」
ミネト「しー」
そう言ってミネトはミズナの口に人差し指を当てた
ミズナ「何するのよ!」
ミネトに詰め寄るミズナの顔は少し赤くなっていたがミネトは冷静に
ミネト「そのことはまだエンドウさんとミズナしか知らない。能力はなるべく知られていない方が良いだろ?あと顔が近いぞ」
ミズナ「っ!!もう分かったわよ!!」
さっきよりも顔を赤くしてミズナは走ってバトルフィールドから出ていった
それを見てミネトは少し笑いながらバトルフィールドを後にした・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます