第21話2人の思いは結びつく?

美花の突然の告白に祐介は驚きと嬉しさが両方いっぺんに込み上げてきておどおどしてしまった。

祐介の返事が出るまで美花は一言もしゃべらず、頭を下げたまま祐介に手を指し伸ばしていた。

祐介は気が付いてはいけなかったが美花の体は少し震えていた。

美花も覚悟を決め告白をしたはいえもし告白を断られたらと考えると怖かった。

目も強くつぶり祐介の返事を今か今かと待っている。

祐介は美花の告白の返事に困っていた。

祐介も美花と初めて会った時からかわいいと思っていた。

そして、好きと。

告白の返事はもちろんYESなのだが、クラスいや下手をすれば学校の1の美女とこんな俺が付き合っていいのか、美花にふさわしいのかとついネガティブに考えてしまった。


「ね、ねえ、美花?」


少し上ずった声で祐介が美花に話しかけると美花の体が目に見えるほどビクッと少し跳ね体に力を入れたのが見えた。


「は、はい!な、なんでそう・・・///」


美花は答えが来ると思い緊張して舌を噛んでしまった。

自分でも舌をかんだことが分かり顔、そして耳まで赤く染まった。

それには祐介も気が付いたが舌をかんだことを触れはしなかった。


「少し聞きたいことがあるんだけどいい?」


「は、はい///」


「いや、それより先に答えを言うよ。美花・・・」


祐介が本当に自分が彼氏としてふさわしいのか美花に聞く前に告白の返事を先に優先させた。

何故なら、美花の体が深く頭を下げ、それを長時間したせいで脚や体が悲鳴を上げるように震え始めていたからだ。

それで、頭を上げてもらうために告白の返事を最優先させた。


「もう一度考え直してくれないかな?」


その答えを聞いて美花の閉じていた目が開き祐介の目を見つめた。

体全体が震え悪寒が走る。

震える体で両手をゆっくり伸ばしながら祐介の元に近づいていく。


「い、いま、なんて?」


自分の聞き間違えだと思い祐介に再び聞き直す。

祐介は自分から美花の元に近づき美花の両手を掴んだ。

そして美花の目を見て同じ言葉を美花に言う。


「だから、もう一度考え直してくれないかな?」


『そ、そんな。私とは付き合えないってこと?』


美花は前日にも当日にももし断られても祐介が気を使わないようにと祐介の目の前では断られても普通でいようと決めていた。

それでも、美花にとっては初めて自分から好きと思えるような人に対しての初めての告白、それが失敗に終わった。

美花はあまりの衝撃にまるで地面に引っ張られ落ちるように座り込んだ。

美花は座り込むと顔も下を向いてしまった。

美花の手を掴んでいた祐介も引っ張られそのままの勢いで祐介も美花の前で座り込む。

すると、静かになった教室に小さくすすり泣く声が耳に入ってきた。



「いや、美花とは付き合いたいとは思ってる、けど俺には自信がないんだよ。俺なんかが美花と付き合っていいのか。ほら、美花ってみんなから人気があるだろ?だから俺と美花じゃ釣り合わないかなって思って。」


『そんなの。・・・そんなの、好きに言わせればいいじゃん!釣り合う釣り合わないなんてそれも私と祐介以外の人が見て勝手に言ってることでしょ!?今は祐介の答えが聞きたいの!付き合った後の第3者からの答えじゃなくて、祐介自身の答えを聞かせてよ!周りが怖いからで断るなんてどうかしてるよ!これは自分の、祐介のことなんだから自分の事を強く持ってよ!!』


下がっていた美花の顔が勢いよく上がり少し声を荒げた声で言う。

その言葉はネガティブ思考になっていた祐介にとても響いた。

何をやっているんだ、なんであんなことを言ったのか自分のことをこれほどまで馬鹿と思ったことはないと思うほど祐介の心に響いた。

そして、聞いて祐介は自分で思い切り頬を叩いた。


「ごめん美花、俺が間違ってたよ。いきなりのことでつい変なこと考えて、ついあんなこと言って本当にごめん。確かに、俺と美花が付き合えばそれは2人だけのことだ。美花の言った通り他の人が何を言おうが無視をすればいいだけだ。美花さっき言ったことなかったことにしてもいいかな?」


『それってどういうこと?』


お互いに座り込む中美花に向かって今度は祐介が手を差し出す。


「まだ間に合うなら、美花と付き合わせてください。」


『馬鹿、それなら私の時に言ってよ。」


美花は目元の涙を1つ拭い、差し出された祐介の手を取る。


「美花、これからよろしくお願いします。」


『こちらこそ、よろしくね。』


2人は互いに手を取り笑いながら言葉を交わした。




2人が付き合ったところ教室の外で冴子が見ていた。


「ありがとう美花、これで役者はそろったよ。」


壁にもたれながら静かに冴子は笑う。

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