第16話告白の答えは?
「あれ~、どこに落としたかな~?もうここら辺しか通ってないんだけどな~。」
紗百合は友達とお昼を食べているときに自分の学生証がないことに気が付き一人で探し歩いていた。
もちろん紗百合は中身の写真のことを知っている。
写真を見られまいと紗百合は焦りながらも必死に探していた。
他の人よりも早く見つけようと。
紗百合が廊下の角を曲がると廊下の真ん中で何かを手に持って立っている祐介とばったり出会った。
祐介が持っているものを見ると学生証であることが分かった。
「えっと、祐介だっけ?ここら辺に学生証が落ちて無かった?友達のなんだけど知らない?」
紗百合は自分のだとかくして祐介に学生証のことを聞き出す。
祐介はすぐさま開いていた学生証を閉じた。
「祐介で合ってるよ。だとしたらこれかな?ちょうどさっき拾ったばっかりで今誰のか見るところだったんだ。」
祐介は中身が何であるのかを知っている。
それなのに紗百合は自分のではないと言っているのを聞いて祐介は中身を見たことを隠した。
紗百合は祐介に近づいて学生証を取り上げた。
「中身は見てないんだよね?」
『う、うん。見てないけど。」
祐介は紗百合の質問にしどろもどろに答えると紗百合は祐介に体を押し付けながら再び聞き直した。
「本当に、見てないんだよね?」
紗百合の顔は笑ってはいたが見ていると恐怖を感じるような笑顔だった。
祐介はその顔を見て視線を右にそらした。
「見ました。」
祐介は紗百合体を押し当てられて動揺していて、なおかつ紗百合の圧に負けて答えてしまった。
「どこまで見たの?」
『全部です。」
祐介の答えを聞くと紗百合は言った祐介から離れた。
紗百合は祐介から離れると廊下の壁の方に向き頭を抱え込んでしゃがみこんでしまった。
その姿はまるで子猫のようでとてもかわいらしく思えてしまった。
「はぁ、どうしよう。せっかく昔の自分を捨てて新しく高校デビューしたのに1日でバレるなんて。いつもそう、肝心なところで抜けてるんだから。私の馬鹿、馬鹿!、馬鹿!!いや、自分を責めるのは後、今はどうすればいいのか考えないと。」
紗百合はどうすれば打開できるのか頭をフル回転にして考えていた。
しゃがみこみながらブツブツと言っている紗百合を見て祐介は後ろから近づき方に触れながら話しかける。
「立花さん、大丈夫?」
『よし、決めた。』
紗百合は立ち上がると祐介の方を向き、両手を掴んだ。
祐介は何事!?かのように掴まれた両手と紗百合の顔を二度見した。
「祐介、あたしと付き合って!」
彼女はどうにかして自分の秘密を隠すために頭が真っ白になり盲目になっていた。
紗百合は今日友達になった友人の惚気話を聞いたのを思い出した。
その友人も彼氏しか知らないことがあったが彼女のお願いということで黙っていてもらっていたのを聞いた。
そして考えたのは、祐介の彼女になって黙ってもらうこと、そう考え付いた。
紗百合は自分の考えに自信を持っていた。
自分の容姿に自信があったからだ。
同じ教室の男子から紗百合は綺麗だというのを小耳にはさんでいたからだ。
そして、祐介の動揺を見てさらに自信がついていた。
祐介の口がついに動き出す。
「ごめんなさい。」
『ありがと、じゃあ彼女になった最初のお願いなんだけどさっき見た写真のことは誰にも言わないでほしいんだけど、今なんて言った?』
「だから、今君とは付き合えない。」
祐介の返事はNOだった。
返事を聞いた紗百合は頭が一瞬真っ白になり立ち尽くした。
「えっと、立花さん?おーい。」
棒立ちしている紗百合の目の前で手を振るが反応は無かった。
祐介は次に体を少しゆすると紗百合は目を覚ました。
「な、なんで?みんな私のこと綺麗って言ってるし、わたしと付き合ったらあなたに必死に尽くす。わがままも言わない。あなたに無理はさせないから。それでもだめなの?」
紗百合は現実を受け止めないで必死に彼女にしてもらうためにアピールをした。
何としても黙っていてもらうために。
「それでも、君とは付き合えないんだよ。」
何度も祐介に自分を彼女にしてもらうためにいろいろ言ったが祐介の答えは変わることはなかった。
そうこうしているうちにお昼休み終了のチャイムが鳴った。
「俺まだご飯食べてないんだ、先に教室に行くね。」
『ちょっと、まだ話は終わって、ってもういないし。誰かに言われないうちに何とかしないと。でもどうすれば?とりあえず、考え付くまで見張るしかないか。』
祐介の後を追い紗百合も歩いて教室へと向かう。
その後ろ姿をメロンパンを片手にかじりながら陰で観ていたものがいた。
「何よ、あの男。冴子様が居ながらあの女と。でも、これを冴子様に言えば2人を割くことも可能のはず。・・・・・それにしてもこのメロンパンおいしいわね。」
はぐっ
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