「むかし、むかし、小さな地球の話をしよう」
※流血、グロテスクな表現あり。
むかし、むかし、あるところに、おじいさんとおばあさんとゾンビの大群がいました。
おじいさんは、山へ鉈とショットガンを持ってゾンビを狩りに。
おばあさんは(血に汚れた服を洗いに)、川へ洗濯に行きました。
おばあさんが川で洗濯をしていると……。
「おや……」
川から、ドンブラコ、ドンブラコと大きなアタッシュケースが流れてきました。
おばあさんは川からアタッシュケースを拾い、開けてみると……。
「おや、まあ……」
ケースの中には、複雑な形状をした機械仕掛けのベルトのバックルと、赤、青、黄色、紫の4種類のカプセルが入っていました。
「これは、あの『ロストブレイン社』が造った『対ゾンビ用の最新兵器』ね」
おばあさんはそう言って、ケースを家に持ち帰りました。
家に帰ると、ゾンビの血で汚れたおじいさんが布で顔を拭いていました。
おばあさんは早速、アタッシュケースの中身をおじいさんに見せます。
「間違いない。ロストブレイン社が造った対ゾンビ用の兵器じゃあ……」
おじいさんはベルトとカプセルを持って、家の地下にある研究所に行きました。
研究所にあるコンピュータを使って、おじいさんはベルトを解析します。
「どうやら、このベルトを装着し、カプセルを差し込むことで、強化スーツが生成され、それを身に纏うことでゾンビと戦う力が手に入るみたいじゃぞ」
おじいさんはベルトの使い方を理解しました。
「それじゃあ、ゾンビ相手に生身を晒さないで戦うことが出来ると言うのですね」
「左様。カプセルが4種類あるのは、状況に応じて、スーツの種類を変えて戦うようにするためのようじゃ。赤は炎の力。青は水の力。黄色は電気の力、紫は……」
おじいさんは、紫のカプセルだけ解析が出来ませんでした。
ですが、これがあれば、武器を使わなくてもゾンビと戦える……。
そう思ったおじいさんは、ベルトを腰に巻き付けます。
そして、片手に赤いカプセルを持ち、
「変身!!」
と、おじいさんは叫び、ベルトに赤いカプセルを差し込みます。
ところが……。
『エラー』
まあ、一体、どうしたことでしょう。
ベルトは、おじいさんの身体と赤いカプセルを弾き飛ばしました。
おじいさんは壁に叩きつけられ、ベルトは床に落ちます。
「おじいさん、おじいさんや、大丈夫ですか?」
「大丈夫じゃあ」
さすが、お爺さん。毎日、ゾンビを100匹以上狩っているだけはあり、身体が頑丈です。
おじいさんはベルトを拾いました。
「どうやら、このベルトは人を選ぶようじゃあ。『適合者』でなければ、このベルトの力を使うことは出来ないようじゃあ」
おじいさんとおばあさんは、とても残念そうです。
もう服を血で汚さなくても良くなったと思ったのに。
すると……。
「助けてくれー!!誰か!誰か、助けてくれー!!!」
地下に届くほどの大きな声が響いてきました。
おじいさんはベルトとカプセルを持って、研究所から出ます。
すると、まあ、大変。
家の中には、一人の青年と、数えきれないほどのゾンビの大群が居ました。
青年は叫びます。
「助けて下さい!!道を歩いていたら、いきなり、こいつらに襲われたんです!!」
どうやら、青年はゾンビに襲われ、おじいさんとおばあさんの家に逃げ込み、そのままゾンビも一緒に家の中に入れてしまったようです。
家の中はゾンビで溢れかえっており、さあ、大変。
いくら百戦錬磨のおじいさんとおばあさんでも、狭い家の中でゾンビの大群と戦うのは危険です。
いつ、噛まれることか。
ですが、おじいさんは全く動じません。
むしろ、微笑んでいます。
「そこの若い人……。こちらに来なさい……」
おじいさんがそう言うと、青年はゾンビを振り切って駆けつけます。
「お願いです!助けて下さい!!」
おじいさんの前に立ち、手を合わせて助けを乞う青年。
すると、おじいさんは……。
「さあ、実験を始めようかのよう……」
おじいさんは青年の腹部に、先程のベルトを装着させました。
青年は、おじいさんがこんな非常事態になにをしているのか理解できない様子。
青年の身体にベルトが装着されると、おじいさんは持っていた赤いカプセルをベルトに差し込みます。
『OK!!ヘンシン、スタンバイ!!タイプ、レッド!アーユーレディ、ゴー!!』
ベルトからいきなり音声が流れ出し、同時に赤い光を放ちました。
「わ、わ!な、なんだ!!なんだ、これ!!?」
青年はベルトから放たれる赤い光に包まれ、自分の身体が別の何かに変化していくことに驚きました。
おじいさんとおばあさんは笑いながら、それを見つめます。
ベルトの赤い光は、ゾンビたちを怯ませました。
一体、青年の身になにが起きたのでしょうか?
そして、青年の運命は、これからどうなっていくのでしょうか?
次回、『聖なる水の青き力』。
運命を受け入れ、青年は戦士へと変身する!!
完
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