第10話

 (※ミランダ視点)


 やった、やったわ!

 彼女は生きているのかしら、それとも死んだのかしら。

 まあ、そんなことはどっちでもいいわ。


 別に生きていても、問題ない。

 彼女に恐怖を与えることには成功したのだから。

 だからべつに、レンガが当たらなくても問題なかった。

 恐怖を与えるという目的は達せられるのだから。

 まあ、死んだら死んだで、それはそれで面白い結末だけど……。


 とりあえず、ここを離れないといけないわね。


 私は屋上から下の階に降りた。

 そこで、一つのアクシデントがあったことを思い出した。

 そうだ、ガラスの置物を床に落として割ってしまったのだった。

 これを見られたら、誰かがこの建物に入ったとバレてしまう。

 しかも、カギを持っているのはオーナーである私と店長だけ。

 この状況は不味い。

 しかし、私にはある考えがあった。


 ガラスの置物を割ったのは、窃盗犯の仕業に見せかければいいのだ。


 私は、小物を何品か盗んだ。

 そして裏口にあるドアを手前に引き開け、店からを出た。

 それから、ドアを閉めた。

 裏口のドアには、窓がついている。

 私は、その窓を割った。

 大丈夫、雨が降っているから、窓を割った音は周りに聞こえていないはず。


 そして私は、割った窓から中に手を伸ばし、内側からドアのカギを開けた。

 これですべて、外部から侵入した窃盗犯の仕業に見せかけることができる。

 完璧だわ。


 私は、雨が降る夜道を歩き始めた。


 さて、彼女はどうなっているのかしら。

 まあ、確かめたい気持ちはあるけれど、どうなっているのか確かめているところを、誰かに見られたらまずい。

 だから私は、そのまま家に帰った。


 まあ、生きていても、それなりの傷を負っているだろうし、恐怖を与えることもできた。

 今はそれで充分だわ。

 シェリル……、どうして自分はこんな目に遭っているのか、とでもあなたは思っているのでしょうね。

 

 私のアイザックを牢獄送りにしたのだから、これはあなたの自業自得よ。

 もちろん、まだ終わりじゃない。

 もしあなたが生きていれば、まだまだ恐怖を与えてあげるわ。


 震えながら待ってなさい……。

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