第2話【召喚】

【召喚】


 それはゲームの世界でいうと、特殊な技能や道具等を用いて、何らかの物や生物を呼び出すことである。


 俺はこのアプリの【召喚】もきっとそういうものだろうと考え、異世界ってことも考えると【召喚】が現実にも反映されるかもしれないと思い、試さずにはいられなかった。


【召喚】をタップすると、画面が切り替わり、【デイリー召喚】、【初回限定召喚】、【アイテム召喚】、【スキル召喚】などの項目がいくつか表示された。


 本当にゲームみたいだな。他のアイコンも気になるが、死ぬ前に100連出来なかった分、早速何か召喚してみるか。


 俺はとりあえず、一番上に表示されていた【デイリー召喚】をタップすると、画面には当選するアイテムやスキルがいくつか表示され、その脇には☆1から☆3まで、レア度を表していると思われる表示がなされ、画面下には【1日1回無料】とアイコンが表示されていた。


 ☆1と表示されたものを確認するとアイテムには【黒パン】、【堅い棒】、【飲料水1ℓ】等があり、スキルには【体力微up】、【力微up】等があった。


 アイテムについては、まあいかにもレアではなさそうなものだな。


 スキルは微上昇でどのくらい反映されるのかはわからないが、鍛えなくても体力や力が強くなるのは嬉しいな。


 当選確率を確認すると☆1は60%(内訳:アイテム50%、スキル10%)となっていたことから、スキルの方がレアなのだろう。


 次に☆2を確認するとアイテムには【黒パン詰め合わせ】、【木刀】、【湧き水1ℓ】等があり、やはり☆1よりもレアなアイテムっぽいな。


 スキルには【体力小up】、【力小up】等があり、微upから小upになっていることから、アイテムと同じようにレアなスキルになっていることがわかった。


 ☆2の当選確率については30%(内訳:アイテム25%、スキル5%)であり、当然☆1よりは当選確率が低くなっていた。


 最後に☆3だとアイテムは【白パン】、【鉄の剣】、【美味しい天然水1ℓ】等があり、スキルには【体力中up】、【力中up】等があった。


 ☆3の当選確率は10%(内訳:アイテム9%、スキル1%)であったが、現実ではレアアイテムの当選確率が1%や3%等が普通であったことから良心的に見えた。


 しかし、1日1回無料で引けるのはありがたいが、☆3でもそこまでレアそうなアイテムは無いな。

他の【召喚】だと良いものが手に入るのだろうか。


 とりあえず異世界に来て初めての【召喚】ですから、ぜひ良いアイテムをお願いします


 そんなことを思いながら、画面下に表示されていた【1日1回無料】をタップすると、俺の目の前にひとつの魔法陣が描かれ、青く発光したと思うとペットボトルに入った水が出現した。


「おぉー!! 現実に反映されたのか!!」


 目の前で魔法陣が描かれ、実際に物が召喚された光景に感動しつつ、スマホ画面を確認すると


 ☆2【湧き水1ℓ】


と表示されていた。


 ☆2の湧き水かぁ……しかしペットボトルに入っているのはありがたいな。


 ☆3のものが当たらなかったことは残念だが、☆1よりはマシだし、一面草原であることから飲み水はありがたい。


 ちょうど喉も渇いていたことから湧き水を飲んでみると、軟水とか硬水とかの違いはわからないが、単純に美味いと感じられた。


 全部飲んでしまうと後で困るかもしれないと思い、水は3分の1程堪能した後、取っておくことにした。


 水を飲んでいる最中、俺はスキルが当たった場合だとどういう風に召喚されるのかが気になったが、実際に当たるまではわからないから考えるだけ無駄だと悟った。


 俺は【召喚】画面に戻り、続いて【初回限定召喚】をタップしてみた。


 初回限定とかだと、レアアイテムが確定で当たることが多いから、これは期待できるな。


 そんなことを思いながら、表示された画面を見ると


【1回限定。☆5以上確定。】


と表示されており、俺は思わずニヤリと笑みを浮かべた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る