第2554話 所詮そんなもん

「お前なぁ・・・遅いことは猫でもするって言われたことない?・・・あ、ない?昨日から頼んでるよね?」


 森くん(26)が坂下くん(32)に注意されている


程なくして坂下くんが出掛け、森くんが俺の元にやってきた


「ちょっと良いですか?」


「おう、なに?」


「遅いことは猫でもするって何ですか?」


「グズグズしてなかなか動かないって意味や。猫がそういう性格なんやろう」


「あ、そうなんですか?グズグズしてたかなぁ・・・」


「どんなこと?」


「◯◯さん御一行の手続き申請ですが、土日挟むから月曜に申請した方が有効期間長く取れるし、と思って」


「してなかった訳ね。坂下くんは几帳面だから早め早めに資料揃えておきたがるの、知ってるやろ?そこを理解してアシストしないと」


「まあ、そうですね・・・わかりました、すぐやってきます」


・・・というふうに、別に報告しなくても良いことをわざわざ俺に伝えにくるのは


Tさんがそうされることを望んでいる、と


どうやら金城くん(30)が俺のトリセツを周知しているから、みたいだ


「忖度」される側は、分かっていて忖度されるのはあまり気分が良いものではない


いっそのこと遅いことをする猫でいてくれたほうが、俺もツッコむネタができて・・・ん?


まさかこいつら?


俺の前では、わざとアホを演じているのか?!


いやそれはないな


唯一の頭脳派である金城にしたって、先だってのハロウィンの折に


金城が車で向かう先が、このあと俺も通る道なので


ハロウィン仕様のイルミネーションを見ながら走る車で混みそうなら教えてくれ、と伝えていた


ところが金城が出掛けてから20分ほど経っても連絡が無いので、こちらから電話を掛けてみた


「そっちどんな感じ?」

「いや〜綺麗に光ってます〜」


そんなこと聞いてないんだよ

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