第2486話 言葉を選ぶ

船の掃除を終え、帰りの車の中


谷やん(37)「お前は船頭として大きな魚を釣らせることが第一目的になってしまってるから、焦るんよ」


坂下くん(32)「・・・ダメなんですか?」


「『ここはどんな海域だろう?』『何が釣れるんだろう?』・・・お前の第一目的は、そんなお客様の知的好奇心を満たすこと・冒険を楽しんでもらうことちゃうの?」


「そうですね」


「その結果、大物が来るかも知れないし来ないかも知れない。何れにしてもその先にあるのは世界平和」


「世界平和!笑」


この会話から遡ること4時間前。


この日、1人だけ釣果の優れなかったお客様にようやく大物が掛かった


しかし10分を超えるファイトの末にラインブレイク(糸切れ)され、放心状態のお客様


「あ〜残念!あと少しでしたね!逃した魚はおおき・・・沖でまた、更に大きくなって戻ってきますよ!」


「谷くん今、『逃した魚は大きい』って言いかけたよな?嫌な奴・・・」


平和ではなかった

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る