第2035話 ZOTTOとの分岐点

大阪の老舗のすき焼き専門店に仲間と4人で訪問した


2階の座敷部屋に通される


むかし庄屋が住んでいたような、何部屋もある古民家


「こういう所ってまさに座敷童子が出そうやな」

「出るんとちゃうか食べてたら」


仲間と談笑しながら食事が始まる


今年は暖冬と言われているが、大阪も日中は上着を着ると暑い


夜になっても、そう気温が下がるわけでもなく


鍋の部類だし、部屋の中が暑くなってきたなぁ〜と思っていたら、そのうち涼しい風が入ってくるのに気付いた


「あれ?そこ、開いてた?」


一人が、使われていない真っ暗の隣の和室を指差す


「あれ?ふすま開いてる」


閉め切られていると思っていた襖が、15センチほと開いている


「さっき仲居さんが出ていくとき開けたんかな?」


「いや〜暗い部屋が見えてるって不気味やで、閉めとこうや」


襖を背にしていた仲間がピシャっと閉める


それから30分ほど経った


「おい、あれ見ろ」


一人の指差すほうに顔を向けると、さっき閉めた襖がまた開いている


「うっわなんで?なんで開いてんの??」

「マジで座敷童子?!」

「こわっ!」


と言いながらも4人とも適度に酒が入り良い感じに酔っているため、怖さに対して鈍感になっている


「もう一回閉めてみようや」


再び開いた襖を閉める


4人は襖のほうを向きながら食べ進めていたが、ジーッと見続けるのも面倒になり


また、すき焼きと談笑に移っていった


どれくらい経ったろうか


「うしろ!うしろ!」一人が襖を指差す


他の我々3人も一斉に振り返る


すっ、すっ、すっ・・・


小刻みに襖が開いてゆき、ついには30センチほと開いた


「うわっ!うわっ!」

「仲居さん呼べ!早く早く!!」


「追加のおビールです〜」真っ暗の隣室から仲居がヌッと顔を出した


「な、何してるんですか?!」


「演出です〜」


いら〜ん( ´д`ll)

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