第946話 オフシーズン

我々の課題は「オフシーズンの冬場にこそ、どうお客様を取り込むか」に絞られる


夏場とは違い、冬場は常連さんばかりなのが現実(それも釣りだけ)


夏の日差し!青い海!リゾートアイランド!が


「沖に出るなら防寒着要りますよ~」くらい寒いとなると、なかなか一般の方には来てもらえない


この時期、安いんだけどなぁ。


「冬場に向けたお客様確保への取り組み」と称して皆で協議したのだが


●飲食店を始める

●フィットネスジムを始める

●中古車販売を始める


本業関係ないんかい!!という安っぽい案しか出て来ない。


なので冬場の良さはどんなところにあるのか、12月は島を出て他県を回ってみようかと。


その会議で全員が大盛りあがりしたので


じゃあお前らで企画して、行きたいところがあれば予定組んで持ってこい、と言ったにも関わらず(6月中頃の話)


まだ誰も動こうとしない


「じゃあお前ら、何処にも行かなくて良いんだね?」と聞いたら


「え~っ島を出て盛大にやるって言ったじゃないですか~」と文句を言う


「じゃあなんで誰も計画進めないの?」と再度聞いたら


●U部長が取り纏めてると思った

●大場さんがそういうの好きだから進めてるのかと

●谷くんが温泉宿のホームページを比較してた

●宮里がやたらと長野推ししてた


他人任せな奴ら・・・俺に気の休まる日がないのは君たちのせいでもある


で、結局、俺が決めることになった


12月に行きたいところを聞くとNo.1は北海道、No.2が東北、No.3が金沢。


皆、憧れの「雪の宿」に泊まりたいらしい


そしてスキーやスノボなど、ウィンタースポーツがしたいそうだ


さらに詳しく行きたい所アンケートを取ってみると


1位 白川郷

2位 函館

3位 野沢温泉村 となった


俺は皆、ダントツでディズニーランド行きたい!って言うのかと思ったんだけど1人も居なかった


問題は、ほぼ全員がコートやジャンパーを持っていないことだ


いっその事チームでブルゾン作ってくださいよ~なんて皆が言い出したので


じゃあ折角だから真っ白の格好良いやつ揃えるか!と制作依頼に出すことにした


そんな中、宮里くん(脳筋2号)がこっそり俺のところに来て


「できれば北海道にはしないで欲しいんですけど・・・」と言う


「なんで?」


「今から申請しても間に合わなかったら迷惑掛けると思うので」


「なんの申請よ?」


「ホスタの・・・皆、もう持ってるんですよね?」


「ホスタって何?」


「入国審査の・・・」


「ああエスタ(ESTA)?お前それ、アメリカ行くときの・・・ん?ホスタ?」


「北海道入るにはホスタの申請が要るって大場さんが」


「あのな・・・じゃあ沖縄来るのにオスタなんて要る?お前、からかわれてんのよ」


「えっ!ウソなんですか?」


「いや考えたら分かる・・・」


「えっ?じゃあ空港で新庄監督に渡す『私は日ハムを応援します』名簿に最低50人署名が要るっていうのは?」


要らないでしょ・・・

てかなんで新庄が空港にいる前提なんだ・・・

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る