第853話 新人さんいらっしゃい

無香空間っていう、透明な丸いプニプニした消臭剤、あるじゃないですか。


事務所の隅々に置いてある無香空間の容器を集め、買ってきた詰め替え用の大袋を開けて


ザザーッと入れようとしたM嬢の手元から、ツルッと袋が落ち


透明の玉がバラバラバラ〜と床に散らばってしまった


「あ〜やっちゃった・・・」


M嬢が、しゃがんで拾おうとした時に外回りから帰ってきた谷やんがヌッと入ってきた


「あっ!踏んだらダメ!」


急に強い口調で言われた谷やんがビクッとフリーズする


「えっ、なんすかこれ・・・」


「無香空間よ」


「むこーくーかん?」


「あらゆるものを無にする水晶よ」


「はぁ?」


そこに4月から入社した新人、上原くんと白井くんが帰ってきた


白井「うわ!どうしたんですかこれ」


谷「水晶だって」


M嬢「見てないで手伝ってよ」


谷「あっすみません」


白井「うっわプニプニ・・・」


谷「なんだこれ柔らか〜」


M「食べる?綺麗なのあるよ」


谷・白井「食べられるんですか?!」


水晶だと言ってるにも関わらず2人は魚卵と思ったそうだ


上原くんだけが必死に笑いを堪えていたという


そもそも水晶でもない。

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