第809話 ロケット花火

孫2人が、御近所の友達らと花火をするというので、スーパーで大量に仕入れて持っていってやった


ジージも保安要員で参加したら?と言われ、そのまま近所の公園まで同行することになった(ハナから参加する気でいたが)


3組の御家族と合流、子供たちは総勢7名となり、花火大会が始まる


我々の他には、高校生なのか社会人なのか判らないが、遠目に十数人の男女がキャッキャキャッキャと花火を打ち上げている


そのうち辺りも真っ暗になり、花火はますます色鮮やかに閃光して闇に映える


遠目の若者集団は、ロケット花火を打ち上げだしたようだ


「ピュイ〜ッ」「ピョォ〜ッ」「パン!」


音と共に歓声があがる


そういえば昔よくやったなぁロケット花火水平打ち。


2組に分かれて空ビンや空き缶に花火を刺して、お互いの陣地に打ち込む。


防御に使うのは、公園にあるステンレスのメッシュのゴミ箱


たまに網目を抜けて体に当たるんだよな・・・


花火の水平打ちは禁止されているが(今じゃ打ち上げ花火自体が公園で禁止されているが)


夏になると必ずやってたなぁ・・・


そんな郷愁に浸っていると


「ヒョォォオッ・・・パン!」


子供たちの近くでロケット花火が破裂した


どうやら若者集団が、まさに水平打ちを始めたようだ


「きゃ〜っ?!」

「こわい〜?!」


子供たちは、どちらかというと「歓声」をあげたが、これは危ない


「ちょっと注意してくるわ」


子供たちの近くで怒鳴り声を上げると怖がるので


20本ほどロケット花火を掴み


さっき飲んだ、空のオリオンのロング缶を持ち、若者集団の方へと向かう


「おい!お前ら!あっちにワラバー(子供)おるんど!近くまで飛んできたぞ!」


「あっ・・・すみません!」


「すみませんで済むか!どれだけ危ないか、お前らわかってるのか?」


「御免なさい、そっち飛ばさないように注意します」


「あほぅ!そもそも水平打ちがアカンと言うとるのや!」


「はあ・・・」


「はあ?・・・そうかお前ら、どれだけ危ないか分かっとらんのやな?ほいだらわからせたる!」


文字にするとこんな会話ではあるが、俺の声がそれほど本気で怒っていないことは彼らにも伝わったはずだ


ほろ酔いなノリの延長


持ってきたロケット花火を空き缶に刺し、チャッカマンで火をつける


若「えっ!おっちゃん何するの?!」


俺「ふっふ・・・逃げろ〜当たんど〜」


若「うわっ!」


バシュッ! ヒュイーン! パン!


若「うっわしんけん(マジ)か!」


若「にげろ!」


若「打ち返してもいいのかな?!」


若「みんな打て!打て!」


若者側からの応戦もあり、わ〜きゃ〜言いながら数分撃ち合う


「はい止め止め!無くなってもた!じゃあな!」


そう言って若者たちの元を去る


「あ〜面白かった〜」


ニコニコしながら子供たちのところに戻ってくる


上の娘からボッロクソに怒られ、退場を命じられた・・・

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