第747話 かぶりもの

先だって借りた、新しい倉庫の片付けをしていた


「ん?この棚はなんだ?」収納ボックスを見つけたので扉をあけると


そこだけ引き渡し時に清掃が忘れ去られていたのか、どうやらPCやサーバーを格納していた棚のようだ


日中なので電気を付けずに片付けていた為、手暗がりのまま頭から突っ込んで奥を掃除する


その後、倉庫を施錠し、車に乗り込み事務所への帰路に着く


途中コンビニに寄り昼食を買う


ん?


心なしか、店員や店内の客が俺をチラチラ見ているような気がする


自分の格好をさりげなく見回したが、別段変なところもない


10分ほどのち、事務所に戻ってきた


「お帰りなさい」


声を掛けてくれたM嬢・R嬢のうち


入り口側に向いて座っていたR嬢が驚いて「あたま、あたま!」と指差す


「えっ?」


思わず頭に触れようとした俺を、振り向いたM嬢が


「あっ触らないで!トイレの鏡で見てきた方が・・・」と言う


慌てて事務所を出て共用トイレに入る


幸い誰もいない


洗面台の鏡を見ると、俺の頭全体に白く蜘蛛の巣が掛かっている


うわわ!


思わず払いのけるが、つまみ上げないと上手く取れない


数分後、とりあえず見た目の蜘蛛の巣を取り除いて事務所に戻り


後頭部に残っていた蜘蛛の巣もM嬢に取ってもらった


R嬢「びっくりしました〜ネットだけ被ってウィッグ付け忘れたのかと」


いやあの、女装して出勤なんかしたことないけど。

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