第704話 アルハラでした?

2月の話。


入籍して1年経った谷やんを、17時から飲みに連れてきていた


仕事の話もあったが、脳筋愚(ノウキング)の彼が今後、本当に家庭を守っていけるのか、まだまだ不安があったのだ


「お母さん、妹、弟。お前は十分に家族を守ってきた。それ以上にお前自身の家庭を、命懸けでしっかり守らんならん。今後も大丈夫か?」


「はい、頑張りまっす」


「ところでお前、奥さん迎えに行かなくて良くなった〜言うから誘ったけど。ホンマに車で帰らんで良かったんか」


「まあ、大丈夫や思いまっす」


「いやいやいやいや。お前さっき奥さんに確認した〜言うたやないか。ほな今日飲みに行くって、まだ言うてへんの?」


「まあ・・・大丈夫っす」


「あかんあかん、そんなん俺が悪者やないか。すぐ電話せえよ」


「あ・・・はい」


既に谷やんは、結構飲んでいるので動作が鈍い


取り出したスマホをツルッと床に落としている


「あ~ぁ割れてへんかなぁ」とかブツブツ言いながら電話を掛ける


プルルルル・・・


呼び出し音デカいなあ!スピーカーか??


『はいはい?タニー?』


「あ、俺っす」


『・・・え?飲んでる?』


「飲んでるっす」


『え?誰と?』


「ボスっす」


『えっ?車じゃなかったの?』


「タクシーで帰るっす」


『私どーすんの?』


「・・・ごめんなさい」


『いーよいーよタニーは悪くないよ。何で飲みに誘うかなぁ・・・』


「ごめんなさい」


『タニーは悪くないって。断れなかったんでしょ?もう、早く帰っといで』


「はい、ちょっと、断れんかったっす」


『いーよいーよ。出る時電話してね?』


「了解っす」


丸聞こえやねんけど。

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