第695話 餃子
昨年夏の話。
お孫さんへ、とアイスの御中元をたくさん戴いていたのだが
意外や意外、孫2人とも、あまりアイス系を好んでは食べない
かといって俺の部屋の冷凍庫にはもう、アイスに割くスペースがない(釣り餌用の魚やイカの切り身を冷凍しているため)
冷凍エサ用の冷凍庫を別に一台、置いているくらいだ
そして俺自身は極度の知覚過敏だから、アイスなんて噛めない
というわけで事務所に持って行くのだが、事務所の冷蔵庫も容量は知れている
昔は近所の夏祭りなどに提供していたのだがイベントは軒並み中止・・・
結局、知り合いの幼稚園の先生に進呈することにした(業務用レベルの量だったので)
(2021年)7月22日からの釣り予約・8月6日からの釣り予約がことごとく台風(6号・9号)にぶち壊されたので
ものはついでと、沖に出られない間に冷凍庫の釣り餌の整理をすることにした
定期的に古いものは捨て、新しい切り身などに入れ替えてはいたのだが
餌専用冷蔵庫の底から、長く凍らせすぎて霜が付き、真っ白になった大きなスチロールのトレーが出てきた
冷凍庫の底と勘違いして、ずっと引き出すのを忘れていたのだろうか?
トレーに掛けられたラップをめくってみると、なんと大量の手作り餃子が出てきた
100個ぐらいありそうだが・・・こんなの、いつ作ったっけ??
あ、ラップに何か書いてある・・・霜を拭くと、油性ペンで2019.10.14と書いてある
更に右下隅に「たくさん食べてね~♡」と書いてある
なんだこれ全く記憶がないのだが・・・
ちなみに餃子の類いは、−18℃以下で冷凍保存限度が3か月
それを過ぎると冷凍焼け(乾燥)からの、油焼け(酸化)を起こすそうだ
1年8か月も過ぎたら流石にもう無理か・・・よし。
凍っている間に、ビニール袋を二重にしてダダーと餃子を入れ、ハンマーで砕く
孫息子に電話を掛ける
「ちょっと釣りしない?」
孫息子を迎えに行き、いつも行く港の波止の先端で
砕いた餃子を撒きながら小物釣りを始めたのだが
餃子の威力が凄いのか、集魚力がハンパない・・・
結局2時間ちょいで、40センチオーバーのミーバイ(ハタ)を含め、食べられるサイズが結構釣れた
「この白いエサ、すごいね!」
孫も餃子の威力に驚いたようだ(・・・餃子とは知らないが。)
その後、晩御飯前に孫を家まで送り、キッチンを借りて釣れた魚を捌き、娘に渡す
「夕方ジージが寄るって言ったら、また理紗(孫娘)が頑張ってくれたの。はい、ジージの分。」
ラップに包まれた白いトレーを渡された
デジャヴか・・・
テーブルからは孫息子の声
「今日のジージの白い特性撒き餌すごかったんだよ!・・・ねぇ、ジージ!!」
長居は禁物だ、帰ろう・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます