第551話 着メロという刺客

訪問した客先の事務所が入る、ビルのトイレで便器に立ち、用を足し始めると


トイレ内の有線から、Gメン75の壮大なオーケストラバージョンが流れてきた


それはそれは、定食屋で仁義なき戦いが流れるほど場違いだった



これは以前、客先へ仕事のお詫びに伺ったとき、実際にあった話だ


先方はA管理部長・B営業部長の2人


こちらは俺とU部長で、併せて4人が打合せテーブルに着く


厳しく精度を求めるお客様であるのに、こちらの単純ミスが2回も続いてしまったため


着席するなり、かなりの剣幕で叱責を受けた


A「繰り返しますが。再三、口酸っぱくお願いしているにもかかわらず、何故このようなミスが起こるのですか?」


B「おたくの会社、危機管理意識が無いに等しいんじゃない?どうやら指示命令系統も破綻しているようだし?」


散々な言われ様で10分ほど過ぎた頃、突然


テレッテレッテー♪

テレッテレッテー♪

ドン♪ドン♪ドリフの大爆笑〜♪

兄さん姉さんパパにママー♪

じいちゃんばあちゃんお孫さん♪

揃〜ったところで始めよう〜♪


部屋に響きわたる


胸元から取り出したスマホを確認しながら「ちょっと」と席を立ったのはB営業部長


俺とU部長は下を向き、神妙にしたまま何も反応出来ずにいる


と、席に残ったA管理部長が


「ドリフ止めろってのに・・・」ボソッと言ったため


我々2人は口の中を噛みながら、笑いそうになるのを必死に堪えた


結局、B部長が戻ってこないので我々は解放されたが


皆様も間の悪い着メロに難儀した御経験ありませんか?

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