第476話 献血のお願い

横断歩道が赤になり、車が走りだす


俺の隣に、母親と小学4年生?くらいの女の子がいる


横断歩道を向いて待っている、我々の右手後ろでは


赤いハッピを着た女性が、先ほどから拡声器越しに声を上げている


「本日もA型・B型・AB型の血が足りません。血は人工的に作れません。皆様、お時間御座いましたら是非、こちらの献血センターにお立ち寄りください。輸血を必要としている沢山の方々がおられます!」


そんな内容を先程から繰り返し訴えている


「本日も、輸血をお待ちの方が沢山おられます!」


ふと、隣の女の子が口を開く


「さっきからさぁー、あの人『生き血をお待ちの方々が』って言ってない?」


母親「輸血って言ってる笑」


「うそー『いきち』って聞こえるって!」


そう言われてみれば


拡声器越しの声が少々こもっているため「生き血」に聞こえなくもない


「あ、ほんとだ『生き血』に聞こえるかも笑」母親も同調しだした


「でしょー?絶対『生き血』だって!」


それが聞こえたのだろうか


「え〜、本日も『ゆ・け・つ』をお待ちの方が沢山、おられます。どうか皆様、お時間御座いましたら、『ゆ・け・つ』『ゆ・け・つ』を、なにとぞ宜しくお願い申し上げます!!」


ウグイス嬢みたいになっていた


ゆ・き・ち は皆が待ってますけどね(´皿`)

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