第451話 次はボケてあげないよ

最近でこそ必要に迫られ、マイク付イヤホンでハンズフリー電話を受けるようになったが


やはりまだ、街中では慣れない


先日、背後から「あれっもしかして?」と聞こえ


振り向くと、見知らぬ30代の男性が俺を見ながら「そりゃ違うわねー」と言ったので


俺のことなのかそれとも通話中なのか


男性の耳が髪で隠れて、どちらなのか測りかねたので前に向き直る


まあ結局、俺ではなかったんだけれども。


誰に話し掛けてるのかはっきりしてくださいな。


その後、事務所に戻り机上の書類を片付けていると谷やんが帰ってきた


これから谷やんの運転で客先に向かうのだ


車のキーを渡し、連れ立って事務所を出ると、丁度谷やんに電話が掛かってきた


彼も最近、ハンズフリーで電話を受けるようになった類だ


駐車場に向かう間、通話を続けていた谷やんだったが


「あっはい、Tですか?今ちょうど隣におりますので、少々お待ち下さい」


そういって俺に電話を代わろうとするのだが


ハンズフリー状態での通話中に電話を代わったことなど無かったのだろう(俺も無い)


「Tさん、○○さんからです」


そう言って、さっき渡した車のスマートキーを返された


はい~もしもしぃ?といちおう耳には当てたけれども。

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