第440話 放任主義

ばっちり決めたランニングスタイルで、公園にトイプーを連れてくる、日に焼けた偏光グラスのオッサン


結構な確率で、俺のランニングの時間と被る


だいたい俺が先に公園に来て、ベンチでくつろいでいると、そのオッサンが走ってやってくる


引っ張られたトイプーも駆け足で付いてくる


オッサンは必ず、決まった木に犬のリードをくくり付けると、屈伸を始める


くくり付けられたトイプーは、木の幹をぐるぐる回るが、1分ほどして位置を決めるとうんこタイムだ


オッサンは、トイプーがプリったうんこを、ポケットから出したビニール袋で掴み


必ず自分の鼻先まで持っていき、臭いを嗅ぐ


嗅いでいる間、まったくの無表情だ(そもそもグラサンで判らんけども。)


"うっわ・・・臭くないんやろか?"


毎度気になるのだが、オッサンはノー・リアクションでビニール袋を裏返し


括っていたリードを木の幹から外し、また犬を連れて公園の外へ走っていく


愛犬の健康チェックを毎日怠らず、臭いで判断しているのか?・・・凄いな。


そう思っていた、先日


いつものように俺が先に着いて公園のベンチに腰掛けていると


オッサンとトイプーがやってきた


リードを木に括る


オッサン屈伸をする


犬がぐるぐる廻り、位置がきまる


うんこプリる


ビニール袋を出して、うんこ掴む


嗅ぐ


「うっげげ!」


めっちゃえずいたオッサンは植え込みの奥に飛んでいった


・・・暫くして植え込みから出てきたオッサンは、駆け足で公園のトイレに向かう


口をゆすぐか何かしていたのだろう、濡れた手をピッピッと振りながら戻ってくる


俺とは10mくらい離れていたが、犬に話しかける声が聞こえてくる


「おまえ!いつも何食べてるの?!」


えっ?

その犬、放し飼い?

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