第345話 おさかなアナリスト

卸売市場で魚を見ていると


となりのおばちゃんが「にーにー(お兄ちゃん)これ。これが良いよ」と親切に教えてくれた


・・・のは良いがこのおばちゃん、腹ボテだと脂が乗って旨い、と思い込んでいるようだ


「あのねおばちゃん、これとこれ(と2尾を指差し)、比べてみて。どっちが美味しいと思う?」


「そりゃぁ~こっちだよ」


やはり腹ボテを選ぶか。


「あのね、こっち(痩せたほう)のほうが旨いと思うよ」


「えっ、どうしてさ?」


「あのね、こっちは細いけど背中が丸いでしょ。これね、運動量が多いから脂肪を分解して背中に貯めてるんだよ」


「あっ、そうなの?にーにー、漁師さん?」


「まあ、そんなものかな」


「だったらここメタボなやつばかりで全然ダ~メじゃないか!ありがとうにーにー、ほかに行くよ!」


ふと顔を上げると魚屋のオバちゃん、めっちゃ怖い目で俺を睨んでる・・・笑


しまったこれは申し訳ないと思い


買う予定はなかったが(職業柄、魚を目利きする癖があり、眺めてるだけだった)


頭付きの底物(ハタ系)を2尾、購入する


2尾で3,500円の買い物だから、なかなかのお詫びにはなったろう


「下ろしますか?」


「いやいやそのままで良いですよ」


魚は下ろしてから一気に身の劣化が進むからね。


購入後、しばらく歩いていると、先程のおばちゃんが別の魚屋の前で真剣に吟味している


歩いてくる俺に気付き「あっにーにー!ちょっとちょっと!」声を掛けてきた


「ここの魚はどうだかねぇ?私はこれとかあれとか、良いと思って・・・あれ?にーにーその袋・・・魚か?どこで買ったの?」


「さっきの店ですよ」


「えっ?・・・私を騙したんかい?!」


なんでだい(;´Д`)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る