第338話 嘘っぱち
いま使っているマスクは、少々値は張るが冷感で薄手の、洗って繰り返し使えるものを数枚、ローテーションしている
最寄りのスーパーで買い物をしていると、突然はらりとマスクが落ちた
あれ?
拾い上げると右耳の輪っか部分が切れてしまっている
あー何度も洗いすぎたかなぁ
買い物カゴには既に、結構な量の品を放り込んでしまった
仕方がない。ハンカチを取り出して口元を押さえながら買い物の続きをしたあと、レジに並ぶ
レジ担当は顔見知りの金城さんという女性
口元をハンカチで押さえている俺に「あら、どうされました?」と聞いてきたので
「さっきマスクが切れちゃいまして・・・」と答える
「あら、替えあります?ないの?あっおウチ近いから大丈夫だね」
レジを終えて袋詰もハンカチで口元を押さえながら行い、店を出た
部屋に戻ってきて1時間ほど経ったころ、下の娘から「大丈夫?」とLINEが入る
「なにが?」
「比嘉さんが『おとう(お父さん)調子が悪いんじゃないの?』って」
比嘉さんとは先ほどのスーパーで働くパートのおばちゃんだ
一緒に居たわけでもないのに、いつの頃からか親子だと知られているようだ
「あー笑」
マスクが切れたのでハンカチで口を押さえていたのだと説明する
「えっ?それだけ?比嘉さん『足取り重いし時折ヒザついてハァハァ言ってたよ!』って」
おとうは脱獄囚か。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます