第308話 早朝の子ども

釣り客の宿泊するゲスト用のコンドミニアムへと、朝4時に向かった


1Fでエレベーターを待っていると


ゆっくりと降りてきたエレベーターの鉄扉の上半分が、網入りのガラス窓(斜めに鉄線の入っているやつ)になっているのだが


徐々に降りてきたエレベーターのその窓越し、右奥の低い位置に


黒髪の、子供の頭頂部(つむじ)が見えた


えっ?

こんな早朝に子ども?!


ゾクゾクッと寒気が走ると同時に扉が開く


真っ黒ツヤツヤな短髪の人が座り込んで、エレベーター奥の壁をゴシゴシ拭いている


頭が混乱したまま立ちすくんでいると


振り向いたのは、明らかにウイッグを被ったオーナーのお婆さん87歳


ていうかウイッグ30度くらいずれてるのか、左目が隠れてV系のヴォーカルみたいになってる


「自転車、乗り入れる人いるからねータイヤ痕付いちゃうのねー」


いやいやお婆さん、昨日まで白髪だったよね・・・


いきなり和田アキ子みたいな真っ黒ツヤツヤなショートのウイッグ被るものだから


見てはいけないものを見たのかと・・・

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