第244話 鶏肋な話
三国志の時代、魏の曹操が
戦場で蜀の劉備との戦いに苦戦している時に、発した「鶏肋(けいろく)・・・」という独り言を
側近の楊修が
「鶏肋(鳥の肋骨)は、出汁は取れても食べるところがない・・・つまり魅力的だが腹の足しにならない・・・今回の戦いは名残惜しいが、得るものがないので『撤退する』との、主君のお考えだろう」
そう先読みし、それを陣地で触れて回った
表に出た曹操が、兵士達があちこちで陣を畳んでいるのを見て何事かと問いただすと、楊修の指図だという
こいつは人の心を読み過ぎる=危険人物だと判断し、その場で楊修を処刑したという、有名な話がある
先日、あるプロジェクトにエントリーする手続きの流れで
各社それぞれ、4桁の番号を設定する必要があったらしく、営業のイシくんが
「どうします?何番にしておきます?」と聞いてきたので
正直今回のプロジェクトにはあまり乗り気でなかったが(競合他社とのチキンレースになるため)
我々としては金額に全てを込めたし、もうダメならダメで良いやという思いで
投げやりに「あー、もう2353で設定しといて」と返事する
積み込み(ツミコミ/2353)という、何となく浮かんだ語呂合わせだった
その後、今回のプロジェクトに協力してくれている業者の担当者から
「御社が今回は手を引くと伺い、本当に残念です」と電話が掛かってきて
「えっ?誰がそんなことを言ったの?!」と聞くと
御社のイシさんから飲みの席で「ウチは手を引く事になるだろうから、御迷惑掛からないように先に伝えておきます」と言われた、との事
慌ててイシくんに電話する
「お前!なんでそんな勝手なことを言った?!俺がいつ、お前に手を引くなんて言った!!」
いきなり怒鳴られたイシくんは、電話の向こうで硬直しているようだ
「あの・・・先日、Tさんが・・・もう終わったようなテンションで、2353って設定しろって言われたので・・・」
「なんでそれが手を引く事になるんや!!」
「2353・・・『兄さん降参』なのかと思って・・・」
刻んで釣り餌にしてやろうか
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