第147話 いつの間に

ウチの隣には60代の夫婦が住んでいて、娘・息子は就職して独立、数年前から部屋には夫婦のみだ


数日前・・・いや、もしかすると数週間前から


隣室の、共用廊下側の窓の鉄柵に、子供用の青い傘が掛けて(乾して)ある


明らかに子供用だ


こんな小さな傘を差すような子供はいないはずだが・・・お子さんが結婚して、孫ができたのかな?


昨日、2部屋隣のUさんと久しぶりに顔を合わせたので世間話をしていた


「そういえばウチの隣の(Uさんにも隣の)Yさん、お子さん戻ってこられたんですかね?」


「・・・Tさん笑」


「はい?」


「Yさんなんてもう1年前に引っ越されましたよ?」


「え?!」


「今は若い御夫婦が住まわれてますけど、お気付きになりませんでした?」


「全然知らなかった・・・Yさん御挨拶とか来られました?」


「はい、来られて高そうなグラスのセットを戴いだ記憶が・・・あれ?Tさんのところ来られませんでした?Yさんと何か揉めたとか笑」


「いやいや!・・・え〜何でだろう・・・私、留守にしてたんですかね?」


「僕、余計なこと言ったかな。」


「ちなみにグラスってどんな・・・」


「ああ、綺麗な赤と青2種類の、江戸切子だったかな、グラスのセットを」


使ってるぞ・・・

さっきもそれでさんぴん茶飲んだ・・・

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