第126話 致命傷

プライベートで数年来、どうしたものかと悩み抜いてきた案件が解決したため


ホッと気が抜けた状態で馴染みのラウンジに伺った


いつものカウンターの奥に陣取り


これまたいつも相手してくれるチーママが正面に座る


その悩みを前から話していたので


ホント良かったね~と、我が事のように喜んでくれた


彼女は、俺が実際経験した阪神大震災や東北震災後の話をしたときにも


他の客がいるのにも関わらず、感化して大泣きしてくれた


そんな彼女の人柄がとても好きだった


で、今回もホント良かったホント良かったと


これまた涙ぐみながら喜んでくれるものだから、急に・・・


ホント今まで全く、そんな気など無かったのに、


彼女を口説きたくなってきた


かなり酒が入っていたのもある


「前に2回、震災の話したときも凄く泣いてくれたやろ。俺、あの時から君のその人間性が好きやってん。今日もまた真剣に聞いて泣いてくれてるやんか。俺やばいわ。」


「なにがやばいの?」


両肘をつきながら俺を見つめてくる彼女


「俺・・・今日はっきりわかった。君のこと好きなんや、なっちゃん」


「あおいですけど」


反省期間を経て何度か店には顔を出しているが、未だ溝は埋まっていない

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