第106話 旅の恥は

沖縄では今週から、順次海開きが始まる


4月半ばには殆どのビーチで泳ぐことができる


なので皆さん、来てね〜(゚∇^d) グッ!!


という話ではなく神戸での出来事。


皆様、ビジネスホテルなどでカードキー翳(かざ)さないと上階に上がれないエレベーター、御経験がお有りかと思います


昨晩遅くにチェックインしたホテル


フロントではちょうど、私服にリュック姿のおじさんが受付をしている


俺はその隣のカウンターでチェックイン手続きをする


「では、このカードキーでエレベーターにタッチしてください」


「あ、はいはい」


おじさんはエレベーターホールに向かった


俺も後追いでエレベーター前に着くと、ちょうどおじさんの呼んだエレベーターがやってきたところだ


2人、乗り込む


階番号のパネルの前に立ったおじさんが「何階ですか」と聞いてこられたので「あっ8階お願いします」と答える


おじさんはまず自分の階であろう5を押して、次に俺の8を押そうとしてボタンに反応がないことに気付く


首を傾げるおじさん

再度ボタンを押すが反応しない


「あの、カードキーを・・・」横から助け舟をだす


「あっ!あぁ〜笑」


おじさんは自分のカードキーを手に持ち


こん。こん。こん。


カードキーの縁でパネルの壁を突く


「いやあの、カードをそこの四角いリーダーに・・・」


「あっ!あぁ〜笑」


恥ずかしそうにおじさんは、俺の指差す、少し下めにあるセンサー部分にカードキーを差し込・・・まないよ〜翳すんだよ〜


「ちょっと宜しいですか?」


俺は自分のカードキーをセンサー部分に翳す


・・・ん?


反応しない?

なんで?


そこに3人目の若い男性客が乗り込んできて


無言で我々2人の目線の上、階ボタンの上部にカードキーをかざし、6階を押す


動き出した


恥ずかしくて固まる我々が押す前に「ぽーん」6階に着く


何でこの人たちボタン押さないで付いてきたの?

同じフロアの人?


そんな怪訝そうな顔で振り向かれながらエレベーターは閉じる


「あっ、なんか、すみません・・・」

「あっいや、こちらこそ・・・」


先ほど俺が翳したのは非常ボタンのフタだった

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る