一章【災禍操るポンコツ娘】

神話

 光の神を崇める陽母教会ケセラマの教えに曰く、天には彼女を含めた七柱の神々が存在しているという。彼女達はそれぞれに異なる役割を与えられた。天地を創造せし、より上位の神々から。

 観察し、記録し、時に教導する。理を守り、空間を維持し、必要に応じて壊し、朽ちた骸からは新しい命を生み出す。

 七柱のうち六柱は遠く離れて人々を見守ろうと決めた。そうした方が種の成長に繋がるはずだと結論付けて。

 けれど慈愛に満ちし光の神ケセラだけは、もっと近くで寄り添いたいと願った。彼女の使命は教え導くこと。幼子から離れてしまってはその役割を果たせない。他の神々も彼女の意志を認め、光の神のみ大地に近い場所へ残ることを許した。

 女神は今も黄金色に輝く時計塔の頂に在り、我々を見守って下さっている。降り注ぐ光を通じ、正しい生き方とは何かを教え、いつか人が神と対等に語り合えるようになるまで、優しく美しく微笑みながら──

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