第23話 クラスのギャルは水着を選ばせたい

 今日は休み。特に予定も入れてなかった俺たちは、家でまったりとそれぞれの時間を過ごしていた。

 俺はスマホでゲームを。莉々香は俺の隣で横になりながらファンション雑誌を見ていたのだが、突然起き上がると俺の目の前に開いていたページを広げて見せつけてくる。


「ねぇねぇいっちゃん! この中だとどれが好き?」


 開かれたページは一面水着の女の子が様々なポーズで載っている。


「服の次は水着か?」


 ちなみに今の莉々香の格好はショートパンツにTシャツだけのラフな格好。例のあの服はすぐに封印された。莉々香が言うには、俺の視線がそこにしか向かないのが納得いかないとのこと。なにか特別な日には着てくれるらしいから、その日を楽しみにしておこう。


「いえーす! だってそろそろ夏でしょ? いっちゃんと水着デートが出来る季節がやってくるのです! 前に一緒に海に行った時はまだ二人とも小学生だったし、去年はバタバタしてて行けなかったもん。今の私なら、いっちゃんの視線を釘付けにしちゃうかも〜!」

「充分釘付けだから安心してくれ」

「はぅ! 今の録音するからもっかい言って」


 莉々香はそう言ってスマホを取り出す。やめなさい。


「ケチー! で、どんなのがいいの?」

「どんなのと言われてもな……」


 開かれたページに載っている水着はビキニからワンピースタイプの物まで様々。ぶっちゃけるとどれも似合うと思うんだが、それを言うと優柔不断な父さんみたいになりそうだからちゃんと決めないといけない。よく母さんに「じゃなくて良いのか聞いてるのにそれはダ〜メ。ちゃんと答えないと試着室に連れ込んじゃうんだから」ってイチャイチャしてるのを見せつけられて吐きそうになったことがあるからな。


「ねぇねぇはやく〜! はやくおしえてよ〜!」


 それを踏まえて考える。

 こう言ってはなんだが莉々香はスタイルがいい。特に胸があるため、下手に生地が少ないと他の男の注目を集めそうで嫌だ。


「かといってせっかく海に行くの莉々香の水着姿が見れないのは困るな。きっととんでもなく可愛いだろう。スタイルの良さを押し出すならやっぱりビキニ? いや、クロスホルダーもいいな。でも可愛いさ重視でワンピースタイプやオフショルダー

 も良いな。そうだ。この際どっちも着てもらうのも一つの手か。陸ではラッシュガードを着てもらって海に入る時だけ脱いでもらえば俺だけが見れる……か?」


 うーん、悩むな。


「ちょ、ちょっといっちゃん? その……ね? えっと……」

「ん? どうした?」


 思考を中断させて莉々香を見ると、何故か顔を真っ赤にしている。手に持っていた雑誌も、見せていたページがクシャクシャだ。


「さっきから全部声に出てるよぉ……」

「…………全部? とは?」

「私の水着姿が見れないのは困るとか……」


 なるほど。確かに全部だな。うーんこれは……


「よし、海に行くのは無しだ」

「なぁんでぇぇ!?!?」




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