自宅の地下室から異世界へ行き来できるようになった男子中学生 現実世界で復讐する

カイガ

プロローグ


 教室には異様な光景が広がっていた。机や椅子は乱雑に倒れていて、ノートや教科書、文房具も床に散乱している。

 時計の針は放課後になる前の時刻を指している。普通ならまだホームルーム中であり、机や椅子が倒れたままなのは普通ではない。今すぐ元通りにするのが正常であるべきだ。

 しかしそれを為そうとする生徒はいない。担任の教師ですらやろうとしない。誰も動くことが出来ないでいた。


 「あ…ああ……っ」


 教室の中心にはクラスカースト上位の男子生徒(髪は金髪、地毛だ)が、床にへたり込んでいた。彼の目と鼻からは液体が流れ出ていて全身を震わてもいる。そんな彼の隣には同じカースト上位の男子生徒が数人、同じようにへたり込んでいた。。


 「ひ、ぃいい………」


 教室の中心には他にも女子生徒が一人いる。彼女はその容姿の良さ故にクラスで一番の人気を誇っている。そんな彼女の整った顔は恐怖ですっかり歪んでしまっている。


 「あ……がが、ぅぐ……」


 黒板にはクラス担任の教師が真っ青な顔で背中を黒板にへばりつけている。本来であれば主だって注意して机や椅子を片付けさせて生徒たちを着席させなければならない。しかし今はその行動に移ることは出来ないでいた。


 「ふぅ………どこからだったかな」


 その異様な光景をつくりだした発起人である一人の男子中学生は、言葉に表せないようなプレッシャー・オーラを絶え間なく発生し続けながら軽い調子で口を開く。教室にいる生徒・教師全てにゴミを見るような目を向ける。


 「まぁいいや。じゃあ本格的に始めようか、


 これまでの仕返し……復讐を!」


 男子中学生……この物語の主人公でもある少年は、残虐性を孕んだ笑みを浮かべてそう告げた―――

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