第28話 修行なの?

お母さんと三橋くんのお母さんは、竹馬の友である。とにかく、ずっと、一緒に過ごしていたらしい。そんな二人も、それぞれ結婚して、年に数回しか会うことが無くなっていた矢先だった。何の縁なのか、嫁いできた先に同居が決まり引っ越して来たら、隣に住んでいたのが三橋くんのおじいちゃんだった。そんな縁でまた、つながり、三橋くんの家もリフォームして同居になり、晴れて隣同士になったのである。まあ、途中、転勤で一度は、離れていたのだが、再び戻ってきたわけだ。なので、三橋くんのお母さんの扱いは、お母さんに任せるのが一番だろう。


 「瑠璃ちゃん!!どうしたの?」

 「亜紀ちゃん。蛇よ蛇がいるのよ。」

 

 蛇仙女さんと目が合ったお母さんは、一言言い放った。


 「まあ!綺麗ね。白蛇じゃない。幸運よ!!瑠璃ちゃん。やったじゃない。」


 そういう、問題なんだろうか?でも、お母さんらしいな…。と思いつつ三橋くんのお母さんの顔を見ると本当に落ち着き始めている。それどころかお母さんの一言に同調し始めた。


 「ほんとよね。考えたら白蛇は神様の使いですもの。」

 「そうよ。瑠璃ちゃん。それに白蛇さん話せるみたいよ。よく聞いてみて。」

 「あっ!!さっき。話したわ。」


 お母さんは、うんうんと頷いている。


 「お母君、お世話になっても?よろしいですか?」

 

 もう一度、蛇仙女さんは、三橋くんのお母さんに話しかけた。三橋くんのお母さんは、ごくりと生唾を飲み込んで落ち着いてから、頷いた。


 「ああ。良かった。追い出されたら、隣の家でぎゅうぎゅうで過ごさないとならなかったから。ありがとうございます。お母君。」


 この言葉に私は、思う。『ん?なんだかおかしい。どっちにしてもいるってことなんだが、どうしてうちか?三橋くんの家なのか?仙界住人は、わが家をなんだと思っているのかしら?』疑問でいっぱいである。三橋くんの方も同じような気持ちのようだが住人の数的には、ゆとりの一人じゃないか。ともやもやする気持ちでいっぱいになった。そして、落ち着いたのでもう一度、質問する。


 「あの~ですね。修行ってどうなったんですか?」

 「そうね。修行だからここにいるのよ。人間界で、バレないように人として過ごすのが修行よ。だから、住むところいるでしょ?だから、まず、手始めにここに来たのよ。」

 「えーっとですね。もうここにいる時点でバレてますよね。」

 「あ~ん!!ここは、別よ。だって、あなたたちは、もともと、私を知っているから。」

 「なるほど~。ってそうじゃなくて~!!いいの?圭太。住むって…。ここで、修行するって言ってるよ?」


 三橋くんは、すでに諦めモード全開である。


 「友香…。俺は、お前ん家見てるから…。もう、断っても無理だろ。はは、はははははは。」


 いったい、いつ、日常に戻るんだろうか?途方に暮れる私だった。

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