#42 無垢の喪失ということ

空の青さをひどく大切がるようになったのはいつからだろう、


波打が足先にかかるのばかり眺めるようなったのはいつからだろう、


絵本を読まなくなったのはいつからだろう、


シーソーに乗ってもブランコを漕いでも星ばかり見上げるようになったのはいつからだろう、


ただの優しさほどただの優しさに見えなくなったのはいつからだろう、


自分の言葉ばかり薄情に響くのはいつからだろう、


死が怖くなくなったのはいつだったろう、


自分の無価値に気づいたのはいつだったろうか、


僕はこんなに、つまらない人間だったろうか。


わからなかった。それが罰なんだと信じた。

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