#40 夕凪

霧のような西日が白く降っていた。


小川の流れが夕日に乗って聞こえる。


遠くのベンチで、カラスがビニール袋を漁っている。ゴミばかり出てくる。烏は懸命にゴミの塊を漁る。


人の往来は、時折僕と烏を横目に眺めている。

指を指すでもなく、話しかけることもない。


本当は誰も僕らのことなんて見ていない。


そう思えたら、

どれほど楽になれるだろうか。


いつ飛び去ったのか、烏はもういなかった。


僕はまだ、空になったゴミ袋を見ていた。

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