#8 新月さん、新月さん

きみは梶井になれなかったが


ぼくもナブナになれなかったよ


両足は溶け落ちた


腐って溶けたよ

そう


骨身に夜が詰まったんだ


爪も剥がれた


もうピアノは辞めようか


ぼくがなにをした


なにもしてないんだよ


なれなかった理由だろうね


でも

歌っているよ


きみの言葉がすきだよ


理由もないよ


もう一度


いや二度や三度は


きみのうたが読みたい


それだけ

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