第282話 捜索

 朝の目覚めはドロシーとアリアとのキスと共に始まった。


 少しいちゃいちゃじゃなくて、微睡んでから庭に出て朝の稽古をする事にした。


 フレデリカ達と共に朝の訓練を行い、一汗かいた後は 風呂と食事だ。

 その後装備を整えて今日の捜索に繰り出す事になる。


 清々しい快晴であった。

 本来であれば絶好のデート日和である。

 そして今日は裕美とデートである!と言えたのであれば最高なのだが、現実は厳しい。

 実際は裕美を抱えての空からの捜索になる。

 今日はアリア達各王女達出身者は無人の城で回収した大量の書物の確認作業に入る。


 膨大な量の書類等もあり、骨の折れる作業だ。

 そして戦闘系の者については各地に散らばり、町の警護をする事になった。

 いつ来てもおかしくない異世界からの何者?か、それに備える為である。

 とりあえず 裕美を抱いて 無人の首都に向かう。

 ゲートをくぐったが昨日と特に何も変わりはなかった。

 やはり生き物の気配は全くしないのである。

 俺はどの辺りを捜索するか特に決めていなかった。

 その為とりあえず来た方向とは反対の街道を進んでみる事にした。

 しかし行けども行けども無人の町や村ばかりである。

 一旦かなりの高さまで上昇してみる事にした。

 天空を駆け上がる。

 空からの景色は絶景である。 暫くすると高い山が見えるので、その山を越えてその先を確認しに行く事にしてみた。

 時折町が見える為、そこに立ち寄りゲートを出しセレナを呼んでいる。まあいつものゲートポイントの確保の為である。もとい、転移ポイントだ。


 山を越えて先を見渡すとさあ何があるのか!と思ったが残念ながら大した距離を進む事もなく海が見えた。そういう場所であったのだ。また振り出しに戻るような形になった。まあ・・・よくある事だよな。

 今度は仕切り直しで必殺技を試す事になった。

 そう棒を立てて倒れた方向に向かう昔からあるやり方である。

 そして 先程山に向かった場所から山を向かって見ると左手の方を棒が指し示した。

 しかし、そっちは行く必要ないよなあ、そう思っていた方向である。

 裕美に言われたが、認識阻害系の何かが働いていて、あっちに行っちゃあいかんって感じる、もうそんな感じに働き掛けられているんじゃないのかな?と言われ、俺も頷いた。


 確かに行っても仕方がない、 時間の無駄だ、行っても仕方がないというような類のアナウンス的な声が頭の中に響き渡っている。

 そして少し進み始めると帰れ帰れ帰れ帰れ!と言わんばかりに警告音が響き渡る。

 さて本物の警告かは分からないが、 警告音と何故かが分かる。そうして進むうちに何がが動いた気配がした。正確に言うと気配ではなく、何かが動いた事による物音が聞こえた気がしたのである。

 気配を探っても何かがいるというような気配は感じ取れなかった。

 しかし、純然たる違和感があるので、一旦地上に降りてセレナを呼んで転移するポイントを設定し、オリビアとアリゾナを連れてきた。

 そして気を引き締めて捜索を開始する事にしたのであった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る