第237話 変則ダンジョン
ボス部屋は50m四方位の正立方体の部屋だ。
出てきたボスはそれは恐ろしい奴が出てきた。
俺は思わずレニスのお尻に顔を埋めて隠れた。セリカも同じくレニスのお尻に顔を埋めて、2人して泣いた。
「あり得ない!アレは駄目だ良くない!早く倒して!だれか!消してくれ!頼むから!」
体長4m程だが、問題は奴が黒く、台所によくいるあのカサカサしている奴としか思えない姿格好だからだ。
アンバーは強かった。ホーネットも強いが敏捷力が違う。
奴の背中に飛び移ると、羽と頭の繋ぎ目に拳を突き立て、内部組織を引き抜くとあっさり終わった。
白い体液まみれの姿であるにも関わらず、アンバーは俺の所に褒めて貰いに来たのだが、俺は目の前でその姿を見た瞬間泡を吹いて気絶した。そう、セレナと一緒に。
アレの体液を被っているのだ、自分に掛かったらと思うと耐えられなかった。
気が付くとレニスが膝枕をしてくれていて、シェリーがセレナを膝枕している。
「あれ?一体何が?俺はどうしていた?」
レニスが困ったように教えてくれた。
「アンバーがボスを倒した直後に、2人共泡を吹いて気絶したのよ。大丈夫?」
「うーんなんでだろう?そういえばアンバーがボスを倒してくれたのは覚えてるんだよなー。アンバーおいで!」
アンバーは今は小奇麗だ。呼ばれて嬉しそうに駆け寄ってくる。
俺は、ぎゅっと抱きしめて頭をなでるとキスをしてお礼を言う。
「ありがとう。あいつキモかったろうに!本当にありがとう」
もう一度抱きしめると、遅れて目覚めたセレナもアンバーに抱き着いて、俺と2人して泣いた。
皆不思議そうに大袈裟な俺の反応に戸惑っていた。
そしてアンバーが嬉しそうにドロップを差し出した。魔石とアンバー向けの武器付きの手甲だ。任意に爪を出し入れできる。俺はアンバーの手に装備してあげるのだが、アンバーはキョトンとしていた。
「おおー!アンバーに似合うな!うんうん。強化したからアンバーの助けになる武器?防具だよ」
アンバーは遠慮がちに顔を赤らめた。
「頂いても良いのですか?」
「うん。君に使って欲しいんだ。今度服も買おうな。あまりおしゃれをしていないだろう?」
アンバーは泣いて喜んでいた。大袈裟だなあと思うも、アンバーの過去に起因しているんだろうなと、たっぷりの愛情で心を溶かしてやらないとなと思いつつ、尻尾をモフってしまった。ナンシーに小突かれて我に返り、先へ進む。
6階層から9階層は、大きさこそ今までのフロアと大して変わらないが、出てくる魔物がボス級ばかりだ。オーガナイト等で、全員がローテーションで先頭を代わって進んでいった。
途中腕を切り落とされたりした者が出たが、俺が即時に繋げたり回復をしていったので問題はなかった。
今は恐らく夕方位になっていたが、漸く10階層に着いた。
ボス部屋の後におっさんがいると思うので、皆に作戦を話す。
「多分おっさんはボス部屋の後にいるんだと思う。ここは俺が行こうと思う。レニスは俺のサポート、アリゾナは皆を守ってくれ」
皆が頷いたので扉を開けつつ中を伺うも、ただの部屋だ。
ボスが出るにしろ中に入ってからの事だろう。
ボス部屋へは全員が入る事が出来た。
そして中から1人の女が出てきたのだが、何故かセレナだ。
「あれ?なんでセレナがそうやって出てくるんだ?」
俺は不用意に近づいてしまったが、アリゾナが慌てて俺を止めようとした。
「駄目です敵です!」
アリゾナの声が聞こえたが、するとセレナの顔をしたそれは俺の胸に剣を突き立てたのだが、なんと何故か俺の鎧が貫通されたのだ。
心臓が破壊された!はっと思うが時間がないので俺は後ろに転移して、そいつの首を刎ねた。
そのままでも行けたのだが、セレナの顔をしているのだ、見ながらは・・・無理だった。
急ぎ欠損修復とヒールで己を治し、ドロップの確認を行う。
ドロップは変化の衣という名のマントだ。指輪とは違い種族の変化が可能。任意で選択出来るのは種族のみで、性別の変更は不可、容姿は選択出来ない。これはおっさんへのプレゼントかな。人間界にて行動するのにあの見た目は宜しくない。
収納にしまい、開いた扉をくぐり中に入って行くのであった。
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